赤沢亮正経済再生担当相は29日の閣議に2025年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。トランプ米政権の高関税政策が日本経済のリスクと問題視する一方、25年春闘での賃上げ実現を踏まえ「これまでにない明るい動きが見られる」と強調。高齢化や物価高で停滞する個人消費の回復やデフレ経済の脱却に向け、継続的な賃金上昇の必要性を改めて主張した。
米国の関税を巡っては日本への相互関税と、日本車に課す関税をそれぞれ15%に引き下げることで合意。米政権が追加関税の導入を始めた今春以降、日本からの自動車や、鉄鋼などの輸出数量の傾向に特段の変化はないと分析した。ただ、日本企業が今後米国での現地生産を拡大し、国内生産や輸出が減少する恐れがあると指摘した。
25年春闘では若年層以外に40~50代の賃上げも進んだとの集計結果を提示。人手不足が深刻化する中、人材の確保や引き留めを目的に幅広い年代の賃金引き上げを急いでいると説明した。