肝炎ウイルスや生活習慣が原因で引き起こされる肝臓がんについて、ワクチン接種の推進や生活環境の改善などの対策を取ることで少なくとも6割の患者が予防できるとする提言を、近畿大医学部(大阪府)の工藤正俊教授らによる国際専門家チームがまとめ、28日付の医学誌ランセットに発表した。
チームによると、2022年の新規患者86万人のうち54万人超が予防可能だったと試算。これらの対策で、がんの発症率を年間2~5%減らすことができれば、今後25年間での新規患者を最大1730万人、死者は最大1510万人減らせる可能性があるという。
提言によると、肝臓がんの発症要因は、B型やC型の肝炎ウイルスへの感染、過剰なアルコール摂取や肥満などが大半という。そこで地域や所得格差に応じた対策が必要だとした。
具体的には、先進国では生活習慣病型の肝臓がんが増えていると指摘。糖尿病患者や肥満の人など肝臓がんのリスクが高い人を対象とした検査体制の整備や、アルコールの過剰摂取を抑えるための警告ラベルを商品に貼るなどの対策を求めた。