母親の胎内で原爆の放射線を浴び、生まれながらに脳や体に障害を負った「原爆小頭症」被爆者と家族の日常を記録した写真展が、8月2~6日に東京都内で開かれる。差別や偏見を恐れ、発信に慎重だった1966年から70年代に撮影された十数点を紹介。主催者は「核兵器の非人道性を被爆地の外にも伝えたい」と話す。
写真は、小頭症被爆者と家族らが65年に結成した「きのこ会」(広島市)の活動や会員の日々の様子を収めたもの。東京写真短大の学生だった広島市の重田雅彦さん(80)と横浜市の菅沼清美さん(78)が撮影した計約8千枚の一部だ。
主催する同会事務局長の平尾直政さん(61)によると、会は結成当初、基本的に取材を断っていた。
きのこ会はわが子の障害について正確な情報が得られないまま孤立していた親たちが、地元記者を通じてつながり誕生した。写真はこれまでほとんど公開されてこなかった。
写真展「原爆が遺した子ら 原爆小頭症・声なき被爆者の80年」は東京都練馬区の「ギャラリー古藤」で開催。入場無料。10月に広島市に巡回する。