宇宙領域の防衛能力強化へ初指針

航空自衛隊宇宙作戦群のレーダーサイトを視察後、記者団の取材に応じる中谷防衛相=28日午後、山口県山陽小野田市

 防衛省は28日、宇宙空間の防衛能力強化に向けた「宇宙領域防衛指針」を初めて策定したと発表した。中国やロシアが他国の人工衛星を攻撃して無効化する「キラー衛星」の開発を進めているとして「宇宙の戦闘領域化が進展し、脅威とリスクが拡大している」と指摘。宇宙空間の利用について、通信や観測といった面で国民生活に不可欠な基盤になっていると位置付け、衛星通信の確保や衛星の防護能力構築を掲げた。

 中谷元・防衛相は28日、航空自衛隊防府北基地(山口県)を視察後、記者団に「急速に進展する民間の技術をいかに取り込んでいくかが鍵だ。防衛省として取り組みを進める」と述べた。

 指針では、通信妨害に耐えられる衛星通信ネットワークの構築、同盟国や同志国間での衛星通信の相互運用推進を掲げた。「衛星防護に関する検討を深化させる」と明記。防衛省はキラー衛星から自国の人工衛星を守る「ボディーガード衛星」の開発、実証を2029年度までに行う方針だ。

 敵の射程圏外から攻撃可能な「スタンド・オフ防衛能力」の確立に向けた宇宙利用も進めると記載した。

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