国内の労働者がメンタル面の不調を抱えながら働くことによって、年間7兆円超の経済的損失が生じているとの試算を、横浜市立大などの研究チームがまとめた。
チームによると、不調で仕事のパフォーマンスが低下することによる損失額を全国レベルで示したのは初めて。65歳未満の精神疾患にかかる医療費(約1兆円)の7倍に相当し、行政や企業による一層の支援が必要だとしている。
チームは2022年、全国の20~74歳の労働者約2万7500人を対象にしたインターネット調査を実施。「気分が沈む」「眠れない」といったメンタル面の症状や、こうした症状による仕事への影響などを尋ねた。
症状がある期間の仕事の「量」と「質」の低下度合いをそれぞれ11段階で評価してもらい、症状が出た日数や、性別・年齢別の就労率、平均日収を加味して損失額を算出したところ、約7兆3千億円に上った。
年代別で症状があると答えた人の割合が最も高かったのは、女性では25~29歳(9・5%)、男性では30~34歳(8・1%)だった。