参院選で自民、公明両党が大敗し、日銀の政策金利の引き上げを巡る判断が一段と難しくなった。石破政権の求心力低下は不可避で、経済や物価の情勢を見極める鍵となっている日米関税交渉がさらに時間がかかる可能性が出てきたためだ。
生鮮食品を除く全国消費者物価指数の前年比上昇率は6月まで7カ月連続で3%を超えた。日銀は物価安定目標に掲げる2%に向けて利上げする方針を堅持しているが、トランプ米政権の高関税政策により「(経済の)不確実性が極めて高い」(植田和男総裁)として慎重な姿勢を続けている。
対米関税交渉を巡り赤沢亮正経済再生担当相は「選挙で勝ったとか負けたとかは基本的に関係ない」と強気の姿勢を崩していないが、市場では、石破政権が弱体化する中で米側から譲歩を引き出せるのかどうかを疑問視する声が上がる。野村証券の岡崎康平チーフマーケットエコノミストは「関税交渉の妥結時期や内容が見通しづらくなり、次回の利上げ時期は先送りを意識せざるを得ない」と指摘する。