マイナス200度の超低温でも元の形に戻る形状記憶合金を、東北大や岩手大などの研究チームが開発し、16日付の科学誌で発表した。身の回りの製品にも使われ、電気や熱などを動力に変える装置「アクチュエータ」として、超低温に冷却する必要のある宇宙望遠鏡などに搭載できるとしている。
形状記憶合金は従来、マイナス20度より冷たくなると、元の形状に戻る性質を発揮できなかった。チームは銅とアルミニウム、マンガンを一定割合で配合し、マイナス200度より冷たいと、自在に伸び縮み可能だが、温度が上がると元の長さに戻る材料を開発。この性質をスイッチに利用すると、オンとオフがマイナス170度程度で切り替わることを実証した。
東北大大学院の大森俊洋教授(金属材料学)は「宇宙望遠鏡の制御や、低温管理が求められる水素の運搬に活用が期待できる」としている。