先進7カ国(G7)が、15日からカナダ西部カナナスキスで開く首脳会議(G7サミット)での首脳宣言取りまとめを見送る公算が大きくなった。米国第一主義を掲げるトランプ米大統領が参加するサミットで、自由貿易や安全保障などの分野で共通認識を集約するのは困難と判断。G7の亀裂が露呈する事態を避ける狙いがある。複数の日本政府関係者が10日、明らかにした。
G7サミットでは、国際情勢や経済などに関する包括的な首脳宣言や首脳声明(コミュニケ)を発出するのが慣例。今回発表されなければ2007年以来、18年ぶりで、ロシアがG8から外れて現在のG7の枠組みとなった14年以降で初めてとなる。
岩屋毅外相は10日の記者会見で「首脳声明が出るのは望ましいが、非常に複雑な国際情勢の中で行われるサミットだ。G7の結束が最優先されるべきだ」と語った。
トランプ米政権は、各国に対し高関税措置を打ち出し、ロシアが侵攻するウクライナ和平を巡っても欧州各国と意見の隔たりがある。