石破茂首相は19日の参院予算委員会で、年金制度改革法案で基礎年金(国民年金)の底上げ策を削除したことについて「政府の中でも賛否両論あり、結論を得るには多少の時間がかかる」と述べた。立憲民主党は、基礎年金の割合の高い就職氷河期世代が不利益を被るとして「自民のために『消した年金法案』だ。選挙目当てで氷河期世代を見捨てるのは言語道断だ」と批判した。年金法案は20日の衆院本会議で審議入りする。与野党の修正協議が今後の焦点となる。
年金法案は、パートらの厚生年金の加入拡大が柱で、働く時間を抑制して保険料負担を避ける「106万円の壁」撤廃などを盛り込んだ。一方、厚生年金の積立金を活用した基礎年金の底上げ策は、参院選を控えた自民党内の慎重論を受けて除外した。
首相は予算委で「年金改革を全て先送りにしてよいことにはならない」と理解を求めた。「自民の都合ではない。就職氷河期世代を見捨てるとは一言も言っていない」と説明。基礎年金の底上げ策に関しては「議論が両方に分かれている。国会での議論を傾聴したい」と語った。