【ブリュッセル共同】オランダ・アムステルダムの世界報道写真財団は16日、ベトナム戦争でナパーム弾攻撃を受け、泣きながら逃げる裸の少女を写した世界的に有名な写真について、撮影者がAP通信のニック・ウット氏ではない可能性があるとする調査結果を公表した。疑義が解消されるまでウット氏を著作者と認めないとしている。
写真は1972年にウット氏が撮影したとされる。「戦争の恐怖」と題されたが、通称の「ナパーム弾の少女」として知られる。世界に衝撃を与え、ベトナム戦争に対する見方に大きな影響を及ぼした。ウット氏は優れた報道に贈られる米ピュリツァー賞を受賞した。
同財団もこの写真に賞を授与しているが、撮影者がウット氏ではなく、フリーの写真家だったとするうわさを調査したドキュメンタリー映画「ザ・ストリンガー」を受けて独自調査を実施した。
当日使用されたカメラや撮影者の立ち位置を分析した。
これに対し、APは「約1年に及ぶ調査の結果、写真の撮影者名を変更する決定的な証拠がないとの結論に至った」としている。