「宝物がようやく返ってきた」。12年以上の時を経て、韓国から長崎県対馬市の観音寺に返還された「観世音菩薩坐像」。その姿を一目見ようと住職や檀家らが12日、寺に集まり、拍手で迎え入れた。近くには「韓国の皆様、返して頂き感謝します」と書かれた横断幕も掲げられ、両国の親善を図る機運につながるよう願った。
午後1時ごろに始まった法要の3時間ほど前、仏像を載せたトラックが寺の前に到着。報道陣も詰めかけ、仏像の入った木箱が寺の中に運ばれる様子を見守った。約40人が集まり、30分ほど法要が営まれた。
返還に尽力した田中節孝前住職(78)は仏像が戻ってきた背景について、韓国側の世論の変化に加え、今年が日韓国交正常化60年の節目で、返還の機運が高まったとの見方を示した。
13日が大阪・関西万博で韓国の「ナショナルデー」と設定されていたこともあり「偶然ではなく、ご縁がある。これこそ観音様の慈悲のたまもの」と話し「終わり良ければ全て良し」と晴れ空の下でほほ笑んだ。