東芝の半導体子会社の東芝デバイス&ストレージは5日、姫路半導体工場(兵庫県太子町)に新たな製造棟が完成したと発表した。電気自動車(EV)などの電力制御に使われる「パワー半導体」を量産する。本格的な生産は6月をめどに始め、車載向け製品の生産能力は2022年度と比べて2倍以上になる。
新棟では半導体の組み立て作業などを担う「後工程」を手がけ、製品は国内の自動車関連メーカーに供給する。新棟への投資額は数十億円に上り、製造工程では自動搬送による省人化の取り組みも強化した。
パワー半導体は電子機器の省電力化に重要で、自動車の電動化などで需要拡大が見込まれている。5日に行われた完成式典の後、取材に応じた栗原紀泰取締役常務は「EV向けは足元では停滞感もあるが電動化のトレンドは変わらない。中期的には需要は上がっていく」と話した。
東芝はパワー半導体事業を成長領域と位置付け、26年度までの3年間に計約1千億円を投資する方針。24年には石川県能美市の工場にも半導体を製造する新棟を完成させるなど生産体制を強化している。