伊藤忠商事がセブン&アイ・ホールディングス創業家による自社買収(MBO)計画への出資を断念したことが26日分かった。1兆円規模の支援を検討してきたが、伊藤忠グループとの相乗効果が得られないと判断したようだ。セブン&アイの創業家はこれまで伊藤忠からの出資を軸として大手銀行やファンドに支援を呼びかけていた。カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから受けている買収提案への対抗策が暗礁に乗り上げる可能性もある。
セブン&アイは昨年11月、創業家からMBO提案を受けたと公表した。創業者の次男でセブン&アイ副社長の伊藤順朗氏らが主導。提案したMBOは総額9兆円規模とされ、大手銀行などに水面下で出資や融資を求めて調整を続けているが、伊藤忠が抜けたことで銀行なども手を引く懸念が強まった。
伊藤忠社内では当初から巨額出資に対し「容易に判断できる問題ではない」と否定的な声も出ていた。昨年に出資検討が報じられて以降、伊藤忠の株価が下がる局面があるなど、株主からの理解が得にくいとの判断もあった。