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教え子に救われた 失意乗り越え、再び教壇へ

 かばんから取り出した学習指導要領には、幾つもの付箋が貼られていた。
 授業のつかみをどうするか。「次の日のことを考えると帰宅が遅くなるんですよ」。朗らかな口ぶりから充実感がこぼれる。
 30代の男性教諭は今、大分県内の小学校で40人弱のクラスを受け持っている。2008年夏。県教委汚職事件に絡む教員採用試験(07年実施)で不正合格とされた。
 身に覚えがないまま自主退職を選んだ「あの日」は遠い過去だ。

教える資格ない
 挑戦を繰り返し、教諭になった。初任校で5カ月たった08年8月末。週明けに始まる2学期の準備を終え、職員室からの帰宅途中に携帯電話が鳴った。「県教委が話を聞きたいと言っている」。校長だった。
 県教委幹部による試験点数の加点がある、と伝えられた。事実を両親にも問いただしたが、誰が不正を依頼したのか分からない。
 事件は対岸の火事だと思っていた。「子どもには、ずるは駄目だと言い続けてきた。教える資格はない」。始業式の数日後、学校を去った。

1度目より喜び
 失意の中から再び奮い立たせてくれたのは、周囲の励ましのおかげだ。
 「先生、勉強頑張ったよ」「今、何していますか」。09年3月、教え子から手紙が届いた。「子どもが慕っていた。何で悲しませるのか」―保護者が県教委に詰め寄ったと、元同僚の先生から伝え聞いた。
 「救われた」と思った。もう一度、教壇に立とう。そう決心し、数年後の採用試験で合格をつかんだ。1度目より喜びは大きかった。

心の中で区切り
 授業の用意、テストの採点、行事の準備…。学校と自宅を往復する日々だ。教室にいると子どもの成長が分かる。ちょっとした行動の変化を見るたび、幸せとやりがいを感じる。
 事件発覚後に県教委から受け取った関連文書は全て処分し、心の中で区切りを付けた。「もう県教委に特別な感情はない」
 ただ―。
 いつか見返してやる……そう思いながら、再び教員採用試験に臨んだ日は忘れない。
 「親族や多くの同僚、周りの子どもたちの支えが力になった。『先生っていいなぁ』という思いを再確認した10年間でした」
※この記事は、6月14日大分合同新聞朝刊1ページに掲載されています。

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