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202042日()

秋の七草にも数えられるクズの花。根は生薬である葛根となる
秋の七草にも数えられるクズの花。根は生薬である葛根となる

淵野貴広(薬剤師・安東調剤薬局、大分市)

 風邪のひき始めや頭痛、肩凝りなどに使われる葛根湯(かっこんとう)。一度は飲んだことがある人も多いのではないでしょうか。
 葛根湯は「葛根・麻黄(まおう)・桂皮(けいひ)・芍薬(しゃくやく)・大棗(たいそう)・生姜(しょうきょう)・甘草(かんぞう)」という七つの生薬からできています。それらをぐつぐつと30分ほどかけて弱火で煮詰め(煎じて)、その液を飲みます。現在はいろんな製薬メーカーからエキス剤として顆粒、錠剤となった製剤があります。
 さて、葛根湯を構成する葛根はクズの根、麻黄はマオウの茎、桂皮はニッケイの樹皮、芍薬はシャクヤクの根、大棗はナツメの果実、生姜はショウガの根茎、甘草はカンゾウの根を用います。このように植物のさまざまな部位が生薬として使われています。
 漢方薬となる生薬は植物だけではありません。「石膏(せっこう)」は石膏ボード、ギプスなどに用いられる硫酸カルシウムを主成分とする鉱物です。「竜骨(りゅうこつ)」はマンモスなどの化石、「牡蠣(ぼれい)」はカキの殻、「蝉退(せんたい)」はセミの抜け殻、「牛黄(ごおう)」に至っては牛の体内にできた胆石です。
 身近なところでは、ネギは生薬名を「葱白(そうはく)」といい、風邪の初期などに効果があります。ショウガは「生姜」として、葛根湯だけでなく多くの処方に配合されています。シソは「蘇葉(そよう)」といって香蘇散(こうそさん)や半夏(はんげ)厚朴湯(こうぼくとう)に、ヤマイモは「山薬(さんやく)」として六味丸(ろくみがん)や八味地黄丸(はちみじおうがん)に、それぞれ配合されています。自然界のありとあらゆる物が生薬として漢方薬に用いられています。
 中医学(ちゅういがく)(中国の漢方医学)は食べ物をはじめ、自然にある大半の物に何らかの効能を記述してきました。「医食同源」ともいわれるように、食べ物も生薬もそれぞれに効能を持つと考えられています。また、それらを治療に応用するために薬性理論が確立され、まとめられてきたのです。
 (企画・監修 西田欣広・日本東洋医学会大分県部会会長)

※この記事は、7月8日 大分合同新聞 朝刊 6ページに掲載されています。

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