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202049日()

東西南北

2020.1.21



 今月5日、1人のプロレスラーが引退した。プロレスに関心はなくとも、バラエティー番組などで角がある独特のマスク姿のレスラーを見たことがある人も多いだろう。獣神サンダー・ライガーだ▼平成元年、東京ドームに姿を現し、令和になって同じ会場でリングを去った。身長は170センチと小柄だが、体は鍛え上げていた。国内最大のプロレス団体に所属し、何度もタイトルを獲得した。ただ、ここまでの経歴だったらドームという大舞台で引退できたかは微妙だ▼特筆すべきは大小問わず、さまざまな団体のマットに上がったことだ。海外へも出て行った。大きな団体にいながら妙なプライドはなかった。有名レスラーと関わることで多くの無名レスラーが日の当たる場所に引き上げられ、業界の裾野は広がった。自身もより多くのファンに認められ、同じレスラーからも尊敬されるようになった▼世の中には多様な価値観、生き方が存在する。一方で異なる意見を封じ込めようとする風潮もある。差別や偏見もなくならない。何とも窮屈な時代だ。その点、ライガーは寛容でおおらかだった。相手へのリスペクトを欠かさなかった。だからこそ国内外で確固たる地位を築けたのであろう▼現在、さまざまな場面で「共生」が問われている。このキーワードに対してライガーの生き方をどう考えるか。ジャンルを問わず、「一流」から学ぶことはあるはずだ。
2020年1月21日

東西南北

 

 大分合同新聞の顔とも言えるコラムです。朝刊1面に掲載。短い文章ですが、政治や世の中の動き、いま話題の事柄を鋭く、時に風刺の効いた、心温まる筆致で描きます。故事来歴などのうんちくも豊富。文章に親しみ、物事を考えるヒントにもなる。それが「東西南北」です。

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