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202049日()

東西南北

2020.1.18



 「牛優先」。竹田市久住町の久住高原をオートバイで走っていたら、こんな看板を目にした。減速して周囲に牛の姿がないことを確認した。放牧が盛んな地域では当たり前なのかもしれないが、「ゆっくり行こうよ」と牛に忠告されているようで心がほぐれた▼以来「牛優先」という言葉が頭から離れず、たわいもない想像をしてしまう。電車やバスの優先席。実は牛優先で、混雑した車内で人を尻目に牛が陣取っている。ユーモラスな光景を思い浮かべては、ほくそ笑んでいる▼日常生活ではついつい「われ先に」となりがちである。例えば車を運転中、信号機のない横断歩道を渡ろうとしている人を見掛けたら? もちろん歩行者優先が交通ルールだが、一時停止しない車も見掛ける。道路脇に「牛優先」の看板があると想像してみると、ドライバーも少しは心に余裕が生まれるかもしれない▼今の時期、「われ先に」と競うように勉強しているのが受験生だろう。学問の神様とされる菅原道真公を祭る太宰府天満宮(福岡県太宰府市)で合格祈願をした人も多いのではないか。天満宮では牛は神の使いとされる。御利益を願い、境内で牛像の頭をなでる姿も目にする▼もし牛像が声を発するとすれば「モウ」ではなかろうか。「もう十分に努力したのなら大丈夫」と。勉強優先の生活に耐えてきた受験生の皆さんに吉報が届くことを祈るばかりである。
2020年1月18日

東西南北

 

 大分合同新聞の顔とも言えるコラムです。朝刊1面に掲載。短い文章ですが、政治や世の中の動き、いま話題の事柄を鋭く、時に風刺の効いた、心温まる筆致で描きます。故事来歴などのうんちくも豊富。文章に親しみ、物事を考えるヒントにもなる。それが「東西南北」です。

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