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202042日()

東西南北

2019.12.6



 「山の国」アフガニスタンで「世紀の大干ばつ」が始まったのは、まさに今世紀が始まる直前の2000年だった。水源となる5千メートル級の山々の雪が激減し、国民の半分を超す1200万人が被災、干ばつは今も収まっていない▼そのアフガンでかんがい用水の建設を陣頭指揮していたのが福岡県出身の医師中村哲さん(73)。4日、現地で車に乗っているところを銃撃され、死亡した。反政府の武装勢力などが活動する紛争地で、安全には気を使っていた▼中村さんは何度か県内にも訪れて講演をしている。人口の9割以上が農業を営み、干ばつがいかに致命的なことかに触れながら、「命の水」を確保することで自給自足の農村再生を目指していることを話していた▼小柄な体である。どこにそんなパワーがあるのか、圧倒された。もともとは1984年、ハンセン病患者らの支援でパキスタンの医療活動に携わり、その後、内戦で混迷するアフガンに支援を広げたという。そして大干ばつに遭った▼病気の背景には食糧不足と栄養失調、そして飢餓と貧困は戦争の原因として、「百の診療所よりも一本の水路を」「WARではなくWATERを」と活動を続けた。昨年、本紙で「まだまだ支援が必要」と訴えていた▼雪の激減と大干ばつの背景には地球温暖化がありそうだ。現地に行かなくても私たちにできることはある。中村さんの死を無駄にしたくはない。
2019年12月6日

東西南北

 

 大分合同新聞の顔とも言えるコラムです。朝刊1面に掲載。短い文章ですが、政治や世の中の動き、いま話題の事柄を鋭く、時に風刺の効いた、心温まる筆致で描きます。故事来歴などのうんちくも豊富。文章に親しみ、物事を考えるヒントにもなる。それが「東西南北」です。

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