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202049日()

東西南北

2019.9.22



 東京で過ごした学生時代、ボランティア活動で聴覚障害のある女子児童と知り合った。優しい両親に育てられたからだろう。屈託のない笑顔がチャーミングだった▼彼女は大学付属のろう学校に通っていた。インテグレーション(統合)教育を導入し、健常者の口の形で言葉を理解する「口話法」を実践していた。“会話”すると、うまく理解できずに困惑の表情を浮かべてしまった。彼女は繰り返し話し掛けてくれた。こちらは手話もできず、どちらがボランティアか分からなかった▼大分で働き始め、聴覚障害のある男子中学生を取材した。手話通訳者を介したが、何を聞いても彼はそっぽを向いた。〈どうせ俺たちのことは分からないだろ〉。思春期特有のいら立ちからか、そんな心の声を聞いた気がした▼生まれた土地や育った環境も異なる2人だが、聴覚障害は外見から分かりにくい。健常者とのコミュニケーションの手段が会話だけなら、相互理解は難しいし、誤解が生じやすいというのもよく分かる▼今、楽しみにしている演劇がある。舞台「HandY」が25、26の両日、大分市のホルトホール大分で開かれる。耳が不自由な青年が、ふとしたことから出会った女性と漫才師を目指すというストーリーだ▼大分実行委員会の計らいで、今回から公演に字幕が付く。ハンディは障害者のみならず社会の問題でもある。音のない世界でも共に生きたい。
2019年9月22日

東西南北

 

 大分合同新聞の顔とも言えるコラムです。朝刊1面に掲載。短い文章ですが、政治や世の中の動き、いま話題の事柄を鋭く、時に風刺の効いた、心温まる筆致で描きます。故事来歴などのうんちくも豊富。文章に親しみ、物事を考えるヒントにもなる。それが「東西南北」です。

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