『タイトル読本』高橋輝次編著 作家たちはどう付けたか

 本や映画のタイトルについて作家、評論家、詩人、翻訳家、編集者ら51人がつづった文章を集めた。タイトルは作品の顔、看板、シンボルだ。題名誕生の秘話、作家と編集者の攻防、工夫と趣向が面白くないはずがない。だが編者によると、この種のアンソロジーはこれまでほとんどなかったという。

 「タイトルは大事だが難しい」と皆が口をそろえる。どうするか。「歳時記や句集や歌集などを読んで、ヒントを思いつく」(渡辺淳一)、「心を出さずに(水などの)物を出す」(荒川洋治)、「八割はかっちりと説明し、残り二割は観客の想像によって完成する」(恩田陸)。つまりこれといった方法論はなく、各自の仕方で呻吟した末に決めているわけだ。

 流行や世の風潮も反映する。石原慎太郎『太陽の季節』、田中康夫『なんとなく、クリスタル』、村上龍『限りなく透明に近いブルー』などは常に時代とともに語られる。

 タイトルの名手として挙がった作家は、太宰治(『人間失格』『トカトントン』)、松本清張(『砂の器』『ゼロの焦点』)、大江健三郎(『芽むしり仔撃ち』『いかに木を殺すか』)。

 良いタイトルは見ているだけでゾクゾクする。三島由紀夫『美徳のよろめき』、江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』、水上勉『飢餓海峡』、丸谷才一『裏声で歌へ君が代』、翻訳なら『羊たちの沈黙』『蜘蛛女のキス』『そして誰もいなくなった』……。

 このまま次々羅列したくなる。後は眺めてじっくり味わうのみ。

(左右社 2000円+税)=片岡義博

2019年10月25日

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