現役引退、第二の人生歩む

プロ野球楽天でコーチになる今江敏晃氏



 18年間にわたるプロ野球選手に終止符を打ち、新たな役割を担い来季へ動き出した。

 楽天の今江敏晃氏が今季限りで現役を引退し、育成コーチに就任した。

 10月22日には早速、新コーチとして楽天生命パーク宮城で行われた秋季練習に初参加。練習後に語った言葉が心優しいこの人らしさを感じさせる。

 「若い選手が多い。自分はプロ野球選手になって社会福祉貢献活動をやってきて、いろんな経験をさせてもらった。野球を頑張るけど、そういうところも大事。そういう選手になってもらえたら僕らもうれしい」

 野球の実力だけでなく、人間的な魅力を持った選手を育成することに励む日々が始まった。

 大阪・PL学園高から2002年にドラフト3巡目でロッテに入団。2005年と2010年に日本一となってともに日本シリーズの最高殊勲選手(MVP)に輝いた。

 フリーエージェント(FA)権を行使して2016年に楽天に移籍した。勝負強い打撃が印象的で通算1682本の安打を重ねた。

 2009年にがんで母親を亡くすつらい経験をした。それでも気持ちを奮い立たせ自らにできることを実行した。

 小児がん患者とその家族への支援、身体障害者の野球チームとの交流や児童養護施設の子どもたちを球場へ招待した。

 東日本大震災後は福島県いわき市内の小中学校を訪問するなど幅広く活動した。2015年には積極的に社会貢献活動に取り組むプロ野球関係者に贈られる「ゴールデンスピリット賞」に選ばれた。

 筆者はロッテ担当だった2013年以来、6年ぶりに再び今江選手を取材することになった。

 「サードへの思い入れは強い。ライバルに勝ち抜いて1年間(試合に)出るのが目標」と三塁の定位置確保を力強く宣言。三塁の守備に就いたのが47試合にとどまった昨季からの巻き返しに意欲を見せていた。

 ただ、キャンプ直前に暗転する。キャンプ地の沖縄県久米島入りするチームに姿はなく、球団は「右眼球中心性漿液性脈絡網膜症」と診断されたと発表した。

 右目の不調を訴え、見えづらい症状があるという。開幕から大きく出遅れ、シーズン中も症状に苦しんだ。

 「悪くなると私生活に影響する状況。年齢もあるし引退しようと思った」と、現役続行を希望していたが苦渋の決断を下した。

 引退記者会見が行われた10月18日は優しさを感じさせる場面が何度も見られた。

 会見冒頭でまず台風19号の被災者を心配する言葉を述べた。さらに息子さんへ引退を伝えたときのことだった。

 一緒にプロ野球の舞台に立つことを夢見ていたといい「お父さんの夢は終わったから…。おまえの好きなように頑張れと…。息子は息子で頑張ってほしい」と言葉を何度も詰まらせながら涙声で懸命に言葉をつないだ。

 プロ野球選手はキャンプから始まり1年間の大半を遠征などで家族と離れて生活を送る。

 仕事とはいえ、父親として普段から十分に接することができず申し訳なさも感じていたという。

 珍しい光景が見られたのは会見が終わったあと。会見場の楽天生命パーク宮城の外で待っているファンのところへ足を運び、感謝の思いを述べた。

 「第二の人生で頑張ります。応援、本当にありがとうございました」と頭を下げた。

 今度は自らの経験を踏まえて、大きな優しさを持つスター選手を育成することが使命になる。

 「みんな何か光を持っている。大きく輝かせるように、いいところを伸ばさないと」。穏やかな笑みを浮かべながら、指導者としての決意を語った。

山形 英資(やまがた・えいし)プロフィル

2007年共同通信社入社。名古屋、大阪支社を経て本社運動部でプロ野球などを担当。19年からは仙台支社へ異動し楽天を取材している。熊本県出身。

2019年10月23日

スポーツリレーコラム

共同通信記者たちが見たスポーツ界の裏側をお見せします。

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