「サッカーコラム」代表の最終目標はアジア杯にしてみては

優勝逃した日本代表の戦いぶりに思う



 現在の日本のやり方では、ベストのチームを編成して大会を戦うことは難しい―。改めて、このことを実感した。

 日本が決勝でカタールに完敗を喫したアジア・カップのことだ。

 4年ごとに開催されるアジア杯は日本代表にとってワールドカップ(W杯)に次ぐ価値がある大会といえる。ところが、現在の開催時期は何とも微妙だ。アジア杯がW杯の翌年に開催されるようになったのは、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの4カ国で共催された2007年大会から。このときは7月開催だったが、11年カタール大会から1月開催に変わった。以来、15年オーストラリア、今回のアラブ首長国連邦(UAE)と3大会連続で1月開催となっている。代表に選出された選手たちはゆっくりと正月気分に浸る間もない。

 アジア王者を決する大会だけに多くの国がアジア杯を最大目標と定めて、チームを作り込んでくる。その中で、チーム編成に頭を悩ませるのが日本を始めとしたW杯出場国だ。W杯出場が永遠に続く保証はないのだが、現在のところ日本は6大会連続で本大会に出場している。1998年フランス大会で初出場してから20年以上もたつ。現在、代表チームでプレーする選手や若い年代の人たちは、日本代表がW杯に出場するのが当たり前の状況に中で生まれ育った。必然的にチームの最終目標もW杯になっている感じだ。

 日本のこれまでの流れを振り返ると、W杯が終わればチームは解散。そして、新たに就任した代表監督の下、若返ったチームが4年後のW杯を目指し動き始める。そこから、10試合程度の親善試合を重ね、わずか半年後には日本代表にとって2番目に重要なアジア杯に臨まなくてはならない。しかも、新チームにとってこれが初めての公式戦だ。

 今回、UAEでの大会を戦った日本代表は決勝で敗れるという残念な結果に終わった。しかし、立ち上げから半年しかたっていないということを踏まえれば予想より良いチームだったと思う。確かに、戦い方のオプションは少なかった。それでも苦しい試合で選手たちが耐えながら勝機を待つ忍耐強さがあった。

 圧倒的にボールを支配されながらも、したたかさを見せたサウジアラビア戦。今大会ベストといえるゲームを演じたイラン戦。いずれの試合も頼もしさを感じさせる試合内容だった。現在のチームはメンタルの強さを感じさせる。それは、各選手がより評価にシビアな欧州でプレーしていることが関係しているのだろう。若手も含め、肝が据わっている感じがする。

 しかしながら、結果はやはり必要だ。「世界のトップ10を目指す」という大目標がある以上、日本は常にアジアの中では勝ち続けなければいけない。相手をねじ伏せて「日本はアジアでは格が違う」と、他の対戦国に強く意識させなければならない。

 そのために打てる策はある。カルロス・ケイロスが率いたイランではないが、ゴール地点をこのアジア杯に定めればいいのだ。今大会のイランは、ロシア大会に出場したメンバーがそのままそろっていた。その意味で経験も含めて成熟したチームだった。

 今回、日本代表はファイナルまでコマを進めた。しかし、W杯後の新チームを編成するにあたって、今後も必ず優れたタレントがそろうとは限らない。

 アジア各国の成長ぶりもこの4年間で目を見張るものがあった。困難な状況に変わりつつあるなかで、将来的に日本代表が立ち上げたばかりのチームでアジア杯を制するのは、ますます難しくなっていくはずだ。なぜならW杯に出場しない他の多くの国は、このアジア杯が唯一無二のビッグタイトルだからだ。

 W杯を最大目標に掲げれば、大会後に燃え尽き症候群ではないが、アジア杯に対するモチベーションを維持するのは難しいのは分かる。ただ、W杯で優勝するのは正直なところ無理だろう。そのときに日本代表のユニホームを着て、「何かのタイトルを持っているか」となったら、A代表の選手が狙えるのはアジアカップしかないのだ。

 W杯に比べれば高確率で手に入れられる優勝カップを、全力で取りにいかないのはもったいない気がする。選手としても日本代表としてプレーした証しに、手元に金メダルが欲しいと思っているのではないだろうか。その意味でアジア杯をチームの集大成とする案も、一つの考え方ではないだろうか。

 それにしても、初優勝を飾ったカタールの躍進は驚きだった。何しろ、このチームは1984年のシンガポール大会以来、本大会で1勝も挙げていなかったのだから。確かに自国で開催する2022年W杯に向け「財力に任せて国籍取得させた選手ばかり」との陰口もある。しかし、カタールは実際に強かった。W杯出場国のサウジアラビア、韓国、日本をすべて破るという芸当は偶然でできることではない。

 決勝戦の終わった後に、友人からメールが入った。「悔しくて眠れない」ということだ。確かに実力上位の相手に負けたなら、諦めもつく。ただ、十分に勝てた相手に負けることほど悔しいことはない。今更ながら「後悔先に立たず」だ。

岩崎龍一(いわさき・りゅういち)のプロフィル サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。ワールドカップの現地取材はロシア大会で7大会目。

2019年2月7日

サッカーコラム

サッカージャーナリスト・岩崎龍一氏による詳細な分析です。

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