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202042日()

山本洋子さんの講演要旨 「1日1合」実践して

 大分政経懇話会4月例会が24日に別府市のホテル白菊で、25日に中津市のグランプラザ中津ホテルであった。日本酒と食のジャーナリスト山本洋子氏が「地元の純米酒を愛して!自然、環境、伝統産業がまるごとつながる米の酒」と題して講演した。要旨は次の通り。

地域を醸す原動力
 日本酒は地域を醸す原動力になるということを伝えたい。ワインは原料のブドウの性質が色や味に現れ、品種や土壌まで語られるが、日本酒からはお米の重要性が伝わってこない。それはなぜか。見ても透明で何を飲んでいるのかよく分からない。嗜好(しこう)に合わなければ価値はない。そのように思われている面がある。
 そこで視点を変えて伝えている。私の最大のテーマは「1日1合純米酒」。20歳以上の国民全員が実践すれば、100万ヘクタールの田んぼが必要になり、減反が不要になる。お米の価値を最大化するのは日本酒、特に純米酒だと思っている。
 田んぼ1反当たり玄米6俵が収穫できると仮定すると、純米酒の一升瓶を1本造るのに約3平方メートル、1坪が必要になる。玄米4割を削る純米吟醸酒は約4平方メートル、玄米5割を削る純米大吟醸酒は約5平方メートルが必要。米の酒の価値を見える化することで、ありがたいと思う気持ちが増す。
 田んぼには重要な役割がある。減農薬で酒米作りに取り組み続けた酒蔵の水田では、自然の生態系が戻ってきた。貯水や二酸化炭素削減の効果もある。

上質な田んぼ復権
 お酒になる米は一つではない。酒米の王様と呼ばれている「山田錦」をはじめ、「五百万石」「美山錦」などいろいろな種類がある。背が高く、大粒で倒れやすいのが特徴で、従来の化学肥料や農薬に頼った栽培方法では上質な米は育たない。農薬を減らすことができ、環境保全にも役立つ。
 酒造りの道具には杉材が多用されている。日本酒の面白さは器にもあり、漆器やガラス、陶器、金属など、バラエティー豊かな楽しみ方ができるのも魅力。伝統的な発酵食品との相性も抜群だ。
 地域で何を食べ、飲むのかを選ぶのは選挙と一緒。農業や林業、漁業、窯業、漆業などの産業は地域の穀物と水でできるお酒と密接につながっている。
 よい日本酒を飲むことは上質な田んぼを復権させ、1日1合の純米酒を飲むことは、日本を守ることにつながる。お米の名前が言えるお酒、作られた場所が分かるお酒を飲むことで、地域が発展して環境もよくなる。ご飯を1膳多めに食べるか、お酒をちょっと多めに飲んでいただく。それがいいことだと思う。
2019年4月26日

大分政経懇話会

激しく変化する社会に対応するため、タイムリーな情報を、政治、経済、国際など各分野の第一線で活躍する講師を招く講演会と情報誌を通じてお届けするのが大分政経懇話会です。会員制の月例会を大分、臼津、別府、中津各会場で開催。入会、問い合わせは大分政経懇話会事務局(大分合同新聞社内・電話097-538-9646)へ。

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