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障害者のアート支援 秘めた才能を輝かせる

令和 新時代を生きる

 車いすの絵手紙講師のアドバイスで筆を走らせる児童たちを笑顔で見守った。この秋、大分市にオープンしたおおいた障がい者芸術文化支援センターの吐合紀子センター長(64)。12月初め、障害のある作家の交流事業で九重町飯田小を訪ねた。「障害に関することも含め、才能を持った講師が子どもの純粋な問いに真っすぐ答える。芽生えた尊敬や親しみの気持ちは、大人になってもきっと役立つ」
 臼杵市の社会福祉法人みずほ厚生センターの相談員として長年、障害者のアート活動を支援してきた。「すっごい絵を描く人がいる」「この作品素晴らしいでしょう」。アーティストの支援に掛ける思いが、熱い語り口から伝わる。センター長就任に、長い付き合いの作家たちからも「心強い」と期待の声が上がる。
 うわさを聞きつけては県内を飛び回り、障害者の秘めた才能を見つけ出す。どうすれば作品が最大限に輝くか、見せ方に知恵を絞る。提案が常に受け入れられるわけではなく、行政、福祉、アート関係者らとしなやかに向き合ってきた。
 昨年、全国障害者芸術・文化祭が、県内で国民文化祭と初めて一体開催された。障害者の文化芸術活動の拠点となるセンターは、その〝レガシー〟と位置付けられる。ようやく県が本腰を入れたことで予算面での充実や各機関との一層の連携が図られるようになった。「これまで支援が手薄だった視覚、聴覚の障害者も含め、より多くの障害者が文化芸術に触れる機会を増やし、誰もが自由に日常的に表現できる環境を整備したい」と意気込む。
 「作り手に障害があるかどうかは、作品の評価に本来関係ない。障害が特性や個性として生かされれば、障害は障害でなくなる」。画廊での勤務経験もあり、数々の名画に触れた。「値付け、中間マージンの基準をどうするかは課題。障害者アートが商業利用されるケースも増える中、きちんと対価を払うため明文化しなければ」と思案する。
 スタッフはセンター長以下3人。率先して現場に出向く。「障害のある人が当たり前に活動できるようになり、いつかセンターの役割が終わる日が来ればいい」
 車いすに乗った講師の見よう見まねで絵手紙に挑戦した飯田小の子どもたちも、障害者アートに触れる機会は滅多にないという。描いた絵は、はがきからはみ出るほど伸び伸びとしていた。

 はきあい・のりこ 臼杵市出身、大分市在住。芸大在学中は、染色、織物を専攻した。特別支援学校の美術教員や生涯学習教室の講師、洋服店員などを経て、約20年前から福祉施設で障害者の地域生活のための相談員を務めた。

<メモ>
 おおいた障がい者芸術文化支援センターの主な取り組みは、障害者の作品の価値判断、展示や鑑賞についてのアドバイスといった相談支援のほか、福祉事業所や特別支援学校での創作活動支援、地域での交流事業など。SNSなどを活用した情報発信も強化する。運営は、県立美術館などと同様、県芸術文化スポーツ振興財団に委託。「福祉事業としてでなく、文化芸術の取り組みとして捉える意義は大きい」(吐合さん)。美術館の事業との照らし合わせや、財団内の人材活用も通して、絵画だけでなく音楽やスポーツ分野にも力を入れる考え。
※この記事は、12月10日大分合同新聞朝刊19ページに掲載されています。
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