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堤防決壊、日常奪う 戻った自宅は泥の海

検証・河川氾濫 台風19号長野リポート

 「川のそばで長年暮らし、いつか水害に遭うのではと恐れていた。まさかこれほどとは…」
 11月上旬、長野市を南から北に流れる千曲(ちくま)川沿いの長沼地区で生まれ育った無職寺田芳雄さん(72)は、被災した自宅の土砂を片付けながらため息をついた。
 JR長野駅の北東約10キロにある地区はリンゴ農園と民家が広がる。平穏だった暮らしは10月13日を境に一変した。台風19号による豪雨で午前1時ごろ、川幅が約1キロほどある千曲川があふれ、未明には堤防の左岸(高さ約6メートル)が約70メートルにわたって崩れた。
 流れ出た濁流で一帯の950ヘクタールが浸水。全壊約800戸を含む1500戸が被災した。
 1カ月がたっても路上のあちこちに根こそぎ倒れた電柱が転がり、建屋が流されてコンクリートの基礎だけが残る民家跡も。がれきを撤去する重機の機械音がむなしく響く。

 決壊箇所から約300メートル離れた寺田さん方は、木造2階建ての1階が床上1・4メートルほどの高さまで泥水に漬かった。敷地内の倉庫は流されてつぶれ、手塩にかけていた松は根元から倒れた。1階にあった冷蔵庫などの家電製品、仏壇、たんすなどは全て処分した。
 東日本を中心に甚大な被害を出した台風19号は福島など13都県で98人の命を奪い、長野県は5人が犠牲となった。
 「氾濫前、夫婦で自主避難したのは正解だった」。寺田さんはつくづく思う。
 雨脚が勢いを増した12日午後、市の防災メールで千曲川一帯の増水情報が頻繁に入りだし、離れて暮らす子どもたちからの催促もあって決断。位牌やアルバムなど大切な物を2階に移し、午後9時半に約5キロ先の親戚方に車で身を寄せた。
 避難後も国土交通省のライブカメラで川の状況を見続けた。カメラの映像が突然途切れた時、「尋常じゃないことが起きた」と緊張が走った。水が引いて戻った自宅は泥の海だった。

 わが家は市から「全壊」と判定され、2年間は見なし仮設住宅で避難生活を送ることになりそうだ。
 自宅を改修して戻るか、引っ越すか。先祖代々住み続けてきた土地への愛着は強いが、また水害に襲われるのではと考えると怖い。
 答えを出すのは簡単でない。

 台風19号は当初の予報で九州に接近する可能性もあった。自然災害が頻発する中、大分県民も今回の被害を「対岸の火事」とは見過ごせない。河川の決壊や内水氾濫に見舞われた長野県を歩いた。

<メモ>
 台風19号は10月12日夜から13日未明にかけて、関東・東北地方を縦断。記録的な大雨で大規模な浸水被害や土砂崩れを引き起こし、全壊約2400戸を含む約8万6千戸が浸水被害を受けた。20日現在、10都県で約2200人が避難所生活を続けている。
※この記事は、11月21日大分合同新聞朝刊1ページに掲載されています。
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