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剣道部員死亡事故10年、両親「気持ち変わらず」

 竹田市の竹田高で2009年8月、剣道部の練習中に工藤剣太さん=当時(17)=が熱中症で倒れて死亡した事故は、22日で発生から10年がたった。工藤さんの両親は「剣太に対する愛情、加害者への憤りは何も変わらない」と強調。練習を指導していた当時の顧問らの責任追及とともに、同様の事故を防ぐための講演活動を今後も続けていく考えだ。
 「剣太に10年会ってないな。寂しいな」。母奈美さん(50)は22日朝、苦しみながら命を落とした我が子を思い、涙した。
 高2の夏休みだった。剣道部の主将だった工藤さんは過酷な稽古を強いられ、力尽きた。顧問だった男性教諭(56)は、ふらついたり異常な動きをする工藤さんを「演技じゃろうが」と責め、胴を蹴り、頬を激しく平手打ちしたとされる。副顧問だった男性教諭(52)も止めなかった。その後、救急車で病院に運ばれたが助からなかった。
 「学校の外で同じ事をすれば犯罪なのに、なぜ公務員の教員は守られるのか」
 両親は民事訴訟と刑事告訴の両面で、元顧問らの責任を追及した。有志でつくる「剣太の会」が支援し、各地で講演や署名活動も展開。学校での悲劇を繰り返さないよう求める仲間の輪は全国に広がった。
 「夫婦2人だけでは到底できなかった。支援してくれる人がいたから闘えた」と父英士さん(54)。
 民事訴訟では「画期的」(代理人弁護士)な結果を得た。福岡高裁は17年10月、元顧問に国家賠償法上の「重過失」があったと認定。公立学校の事故で教員個人の賠償責任を認める異例の判決が確定した。
 一方、業務上過失致死容疑での刑事告訴は、大分地検が「嫌疑不十分」で不起訴処分としたまま公訴時効の10年を迎えた。両親は今月20日、地検を訪れ、公訴時効が20年の保護責任者遺棄致死の疑いで改めて告訴状を提出。「もうちょっと頑張るけんな」。英士さんは亡き息子に誓った。
 講演活動は年に数回、全国各地に足を運んで「あの日」の話をしている。教師を目指す学生やスポーツ指導者らが対象だ。
 「これからの子どもたちを守るために、どうすればいいかを考えている。講演が心に残ってくれれば」
 これ以上、誰にも悲しい思いをさせたくない―。両親は願っている。

〇外部指導員にも安全対策を徹底
 工藤剣太さんの事故を受け、県教委は2010年1月、運動部活動指導の在り方をまとめた手引書を作った。熱中症予防のため、気温が35度以上の場合は練習を原則中止とし、休養日を設けるよう求めた。
 外部からの指導員に対しても、研修会などで安全対策の徹底を図っている。体育保健課は「根性論ではなく、スポーツ科学に基づいた効率的な部活動にしていく必要がある」と指摘する。
 加藤寛章課長(54)は「事故を風化させてはならない。現場の教員一人一人が自分の問題として重く受け止め続けることが大事だ」と話している。
※この記事は、8月23日大分合同新聞朝刊23ページに掲載されています。
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