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わくわくを若い世代に 大分県弁護士会長の原口祥彦さん

施行10年に寄せて 裁判員裁判おおいた(下)

 裁判員制度の施行当時、私もどこそこで裁判員裁判についての話をして回りましたが、いつも質問攻めでした。「仕事が忙しいことは辞退の理由にならないのか」とか、「評議の秘密は家族にも一生漏らしてはいけないのか」とか、不安そうな、しかしどこか楽しみにしているような印象であり、わくわくしている方も多くいました。
 われわれ弁護士も、裁判官や検察官といった法律の専門家だけでなく、裁判員、ひいては広く国民に分かりやすく伝えることを意識して活動を行う必要が生じました。証人尋問や意見陳述などの在り方について研修を重ねてきました。
 また、裁判員裁判をきっかけの一つとして、捜査機関における取り調べの全過程で録音・録画がされるようになりました。密室で行われてきた取り調べが可視化され、分かりやすく検証できるようになりました。
 裁判員の負担軽減のために、生々しい証拠をイラストにしたり、いくつかの書類を簡略にまとめたりする工夫もなされています。ただ、刑事裁判がこのようなことでいいのかという議論もあります。裁判員にとって分かりやすいことは大切ですが、そのために真実の発見や被告人の権利の保障といった刑事裁判の根幹がないがしろになっては本末転倒です。問題点については今後も検証が必要です。
 あれから10年。当時のわくわく感もかなり薄まってしまい、できれば辞退したいという方の割合も増えています。しかし、経験した方の多くは「やってよかった」「裁判に対する認識が変わった」といった肯定的な感想を述べています。
 県弁護士会は先日、中学生を対象に模擬裁判をしました。生徒たちは証人尋問でプロ顔負けの質問をしたり、評議の際に活発に意見を述べたりしていました。わくわくしていました。このような子どもたちが将来の法律家を目指し、あるいは裁判員制度をしっかり支えてくれるようになってくれればと願うところです。

 【プロフィル】はらぐち・よしひこ 中央大法学部卒、1995年弁護士登録。九州弁護士会連合会事務局次長、県弁護士会副会長などを務め、今年4月から現職。大分市出身、56歳。
※この記事は、5月21日大分合同新聞朝刊21ページに掲載されています。
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