米気候懐疑論が世界分断と指摘

 気候科学が専門の江守正多東京大教授が2日、日本記者クラブで講演し、トランプ政権下の米国で気候変動の懐疑論が主流になり「一部の産業界の利害を色濃く反映した政策が、人類の運命に影響を与えようとしている」と危機感を示した。影響は米国内にとどまらず、世界各国が協力する地球温暖化対策の実効性の低下や、分断を引き起こしていると指摘した。

 トランプ大統領は「気候変動は史上最大の詐欺だ」と主張。パリ協定からの再離脱を表明したほか、温室効果ガスを大量に出す石炭や石油の使用を擁護している。江守氏は、背景に脱炭素化に伴う規制を回避しようとする石油業界や支援を受ける政治家、シンクタンクが連携した「否定論エコシステム」の存在を指摘。組織的な活動が存在することを社会が認識し、警戒する必要性を訴えた。

 11月にブラジルで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に関しては「産油国も参加する交渉で『化石燃料からの脱却』を進めるのは無理がある。(石油などの)消費国が需要を減らすことで達成するしかない」と語った。

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