【ジュネーブ共同】軍縮会議日本政府代表部の市川とみ子大使が19日までに共同通信の取材に応じ、戦後80年を迎える現在の核兵器削減を含む軍縮の機運について、中国の核増強などを挙げ「非常に強い逆風が吹いている」と述べた。冷戦後に達成した成果を守りながら、全当事者が協力できる分野から合意する「小さなステップ」の繰り返しが重要だと指摘した。核を巡っては北朝鮮の脅威が増していると改めて強調した。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、今年1月時点で世界の核弾頭総数(推計)は1万2241発。冷戦期の1980年代は7万発に達したとされ、市川氏は「長い傾向では核軍縮は進んだ」と評価した。だが近年は、ウクライナに侵攻したロシアによる核の威嚇など「冷戦後、核使用のリスクが最も高まっている時期だ」と懸念を示した。
イラン核問題が注目される中、市川氏は「北朝鮮の方がはるかに先を行っている」と指摘。北朝鮮への対処が重要だとさまざまな会合で世界各国に訴えているという。