
[2010年3月9日 14時26分]
竹ひごで作った「三角形」を自由に組み合わせて遊ぶ子どもたち=別府市のソルパセオ銀座
「難しい」「分かりにくい」と思われがちな現代芸術を、街の中に溶け込ませたいという。別府市で22日まで開かれている現代芸術のイベント「BEPPU PROJECT 2010 アート・ダンス・建築・まち」。いったい、どんな催しなのか。“美術館”になった中心市街地を歩いてみた。
7日、記者が訪れた会場は商店街の空き店舗を改修した「プラットホーム07」。週末だけのプログラム「竹場(たけば)」が始まっていた。
3本の竹ひごで作った無数の「三角形」が床に散らばる。自由につなぎ合わせ、好きな形を作れる“部品”だ。砂場の一粒一粒の砂と同じ。だから、竹場。「竹で造形する楽しさを体験してほしかった」。仕掛け人の竹工芸家、大橋重臣さん(36)=別府市=は言う。
近くの市南部児童館には、地元の子どもたちが考えた「新しい地獄」が並ぶ。赤い池にすむ怪物を段ボールで作った女児が説明する。「ここは血の水たまり地獄。車で水をはねた人が行く地獄です」。素直な「罪と罰」の発想に引かれた。
「街と密接にかかわりたい」。総合プロデューサーの山出淳也さん(39)=NPO法人ベップ・プロジェクト代表理事=は強調する。期間中、約50のプログラムを展開するが、多くは気軽に参加・体験できる内容。
背景には同法人が昨春、市内で開催した「別府現代芸術フェスティバル2009『混浴温泉世界』」の反省がある。大規模なアートの祭典は専門家やメディアに高く評価された半面、「市民の関心が薄い」という現実が突き付けられた。
「地方都市でも文化・芸術活動ができる環境づくりをしたい」。これが同法人の願いだ。「よそ者を受け入れる懐の深さが魅力」として、別府という舞台にこだわる。「小規模でも地域の中でこつこつとイベントを継続し、2012年に再び『混浴温泉世界』を開きたい」と考えている。
最大のハードルは「現代芸術は敷居が高い」という人々の固定観念だろう。
山出さんは「なぞなぞではないから、正解を探す必要はないんです」と話す。芸術家たちが創造するのは「誰も見たことがないもの」「経験したことがないもの」。来場者は単純に面白がったり、街の将来を考えるヒントにしたり…。人それぞれの楽しみ方がある。
「従来の別府にはなかった切り口。地道に続けて定着させてほしい」と期待するのは市観光協会の大塚直登総務部長(32)。「有名になった88湯巡りの別府八湯温泉道も当初はマニア向けの企画だった。観光資源は多種多様な方がいい」
アートが彩る泉都。ほんの少しの好奇心を持てば、いつもと違う風景に出合えそうだ。
(別府支社・田尻雅彦)
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