
[2009年11月10日 14時57分]
無化学肥料・農薬で給食畑の野菜を栽培している藤嶋祐美さん
臼杵市内の学校給食で使う野菜を地元の農家が栽培する「給食畑の野菜」の取り組み。臼杵産の野菜を使って子どもたちにおいしい給食を食べてもらおうと始まり、来年で10年を迎える。現状と課題を探った。
生産者の顔知る
「いただきます」。市内野津町、都松小学校のランチルーム。給食時間になると全校児童21人が集まり、食卓を囲む。この日の献立のメーンは「白菜のクリーム煮」。給食畑で栽培した旬の白菜とニンジンが入っている。生産者の名前と住所を紹介する教員の声を聞きながら、おいしそうにほお張った。
学校から300メートルほどの所にある畑にはネギや白菜、ダイコンなどがずらりと並ぶ。「給食畑の野菜」有機農業推進協議会長を務める藤嶋祐美さん(52)の畑だ。化学肥料・農薬を使わずに栽培。地元JAの産直組織を通して出荷している。10月には農水省から「地産地消の仕事人」に選ばれた。給食畑の魅力を「収穫して24時間以内の、栄養も味も落ちていない野菜が食べられる」と説明する。
取り組みを始めて9年。臼杵学校給食センターの倉原恵子栄養士は成果が見えるメニューとして「ホウレンソウとダイコンのポパイサラダ」を挙げる。ホウレンソウもダイコンも苦手な子どもが多い野菜だが、臼杵の子はよく食べるそうだ。「学校帰りに自分たちの給食のために畑で栽培されている野菜を見る。生産者の顔も知り、残さず大切に食べようという気持ちになっているはず」
使えない食材も
給食で使われる食材の平均約3割(重量ベース)が給食畑の野菜。市は4割まで引き上げたい考えだが、解決すべき課題もある。
藤嶋さんは「ブロッコリーなど給食に使えない野菜もある」と指摘する。このような野菜は給食センターで虫が付いていないか点検しながら洗わなければならない。食材を受け取ってから約3時間ほどで配送までしなければならない給食調理では時間が足りない。
ほかにも生産者の後継者育成や年間を通して使う野菜の貯蔵法、旬の野菜と献立で使う野菜のバランス調整といった課題もある。
「子どもに地元産のおいしい野菜をできるだけ多く食べさせたい」という生産者や調理関係者の思いで成り立つ給食畑の野菜。食の乱れが指摘される現代で「食」を大切にする子どもを育てるためにも、長く続いてほしい取り組みだ。
(臼杵支局・渡辺美加)
<ポイント> 給食畑の野菜
旧臼杵市が2000年に始めた。市はあえて農薬の規制を設けず「子や孫に食べさせるつもりで」とだけ生産者に伝え、良心に任せた。合併後、旧野津町にも広がり、現在は市全域で約50人が参加。うち10人が無化学肥料・農薬の有機栽培に挑んでいる。
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