
泣き崩れる山野を抱いてあいさつに向かう今宮(左)
「最後は全力の直球を投げた」。投打にわたってチームの中心として引っ張った今宮健太(3年)は涙をしまい込み、さわやかな笑顔すら見せて甲子園を去った。
選抜の2回戦、花巻東のエース菊池雄星(同)に抑えられ、敗戦の責任を人一倍背負った。リベンジを誓い、内角攻めを克服。高校通算本塁打を選抜までのほぼ2倍の62本に増やし、再び甲子園に乗り込んだ。
打撃に磨きをかけたが、投手としての信頼度は最後まで一番だった。「今日は絶対に負けたくない」と先発マウンドに上がったが、四回途中で降板。しかし九回、同点に追い付かれ再登板。野口昂平(同)、山野恭介(2年)は退いていた。命運は託された。
あらん限りの力を振り絞った。「150キロを超えたい」と甲子園入り後に練習した“トルネード投法”を使い、自己最速の154キロを計測。この回を2者連続三振でしのぐと、グラウンドではあまり感情を見せない今宮が、珍しく両手でガッツポーズ。しかし十回2死二塁、初球の145キロをはじき返された。
171センチ、71キロと野球選手としては小柄。疲れはあったし、体調も万全ではなかった。だが言い訳はしない。「相手の方が一枚上手だった。自分が抑えられなかった」と今宮。「その代わり、2年生が本当によくやってくれた。今日は最高の日だった」。リーダーとしても成長した姿を残し、今宮の夏が終わった。
好投山野、飛躍誓う
「九回は甘くいってしまった」。山野恭介(2年)は五回途中から3番手として好投。しかし勝利目前の九回に追い付かれ、試合終了後は今宮健太(3年)らに慰められ、両脇を抱えられてグラウンドを後にした。
2回戦までは出番に恵まれず、うずうずしていた。「低めをつく自分の投球ができれば大丈夫」との言葉通り、3回戦の常葉橘戦に続く好投で流れを引き寄せた。
兄と慕う今宮からは1球ごとに声を掛けられた。「気持ちで投げろ」「自分のところに打たせろ」…。しかし、2点リードの九回、3連打で追い付かれ、マウンドを再び今宮に託した。捕手の阿部弘樹(3年)は「山野のそれまでの調子なら逃げ切れると思ったが…。先頭打者を出したのがまずかった」と悔やんだ。
「新チームでは自分が好投し、チームを盛り上げたい」と山野。確かな手応えとほろ苦い経験を胸に、飛躍を誓った。
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