
全国都道府県対抗女子駅伝でゴールする大分のアンカー・矢野由佳=西京極陸上競技場
第29回全国都道府県対抗女子駅伝は16日、京都市の西京極陸上競技場発着の9区間42・195キロで行われ、京都が2時間17分16秒で2年ぶり14度目の優勝を果たした。連覇を目指した岡山は51秒差の2位で、3位に福岡が入った。
3区で16位まで沈んだ京都は、4区の木崎良子(ダイハツ)が10人を抜いて挽回。6区の菅野七虹(ななこ)(立命館宇治高)が区間新でトップに立ち、最終9区の福士加代子(ワコール)が区間1位の走りで後続を引き離した。
大分は1区で37位と出遅れた後、7区で12位まで挽回したが、終盤で再び順位を下げて20位だった。
【評】大分は出遅れたが、つなぎ区間が健闘し、昨年の順位(21位)を一つ上回った。1区の城戸は3キロすぎまで先頭集団について走ったが、ペースの上がった中盤以降に後退し、37位でたすきをつないだ。2区高田が順位を四つ上げると、3区上杉は区間12位の力走で6人抜き。4区中村がしっかりとつなぎ、5区の後藤、6区の牧島がともに区間4位の力走で14位に上昇。さらに、7区狩生が二つ順位を上げた。8区木本も粘り強くつないだが、各チームのエースが集う9区で矢野が本来の力を出し切れず、五つ順位を落とした。
一時は12位まで順位を上げたが、終盤に粘れず20位だった。アンカーの矢野由佳(キヤノンAC九州)はフィニッシュすると倒れ込み、「みんなが頑張って上げてくれた順位を維持できなかった。力不足」と唇をかんだ。
「1区を20番前後でつなぎ、流れをつくる」(北山監督)という作戦は出だしで大きく狂った。「寒さもあり、思うように体が動かなかった」と城戸智恵子(キヤノンAC九州)。
しかし、そこから驚異的な追い上げが始まった。「順位を上げることだけを考えた」という2区の高田鮎実(同)をはじめ、2~7区までの選手が次々と前を行く選手をとらえ、12位までアップした。
北山吉信監督(立命館APU女子陸上部監督)は「雪が舞い、強い風が吹く中で選手はよく頑張った」と納得の表情。
昨年に続いて、中盤で順位を押し上げるなど、戦力の底上げが進んでいることを感じさせた。
しかし、国内トップ級の選手が走る1区と9区では勝負できなかった。
大分陸上競技協会の衛藤道夫強化部長(キヤノンAC九州監督)は「中高生はよく頑張ったが、最初と最後の締めるべきところで実業団の選手が締められなかった。持っている力を出し切れるよう、もっと強い意識を持たなければいけない」と厳しい表情。
北山監督は「来年に向けて、もう一度一から頑張りたい」と話した。
つなぎ区間 4人が健闘
苦しい展開でスタートした県チームを救ったのは、過去の大会で納得できる結果を残せず、悔しさを胸にしまって走った選手たちだった。
3区の上杉円香(佐伯南中3年)は昨年も同区間を走る予定だったが、インフルエンザにかかって辞退した。「今年は絶対に走りたかった」と上杉。たすきをもらうと勢いよく飛び出し、前を行く選手を追い抜いた。「下りは得意。走りやすかった」とにっこり。
5区の後藤みのり(文理大付高3年)と7区の狩生あおい(同)は昨年12月の全国高校駅伝に出場したが、納得のいく走りができなかった。
後藤は「今度こそ自分の走りをしたい」と序盤から飛ばし、終盤も歯を食いしばって前の選手を追った。区間4位の成績に「選手を抜くことで勢いがつき、楽しかった」と笑顔で振り返った。
狩生も積極的だった。「後半は脚が動かなかった」と言うが、区間14位で2人を抜いた。「もっと走れたかな」と狩生。
6区の牧島さおり(キヤノンAC九州)は昨年、体調不良に悩み思うような走りができなかった。年末にも体調を崩し、「走れるか微妙な状態だった」と言う。ところが、本番では持ち前の勝負強さを発揮。実業団の意地もみせ、5人抜きの快走は区間4位だった。
「中高生が追い上げてくれ、気合が入った。力は出し切れた」とほっとした表情を見せた。
4選手は「もっともっと成長したい」と精進と飛躍を誓った。
雪の中、熱いエール
○…時折、雪が舞うあいにくの天気だったが、陸上競技場や沿道では、大分から駆け付けた県教委や大分陸上競技協会の関係者、出場選手の保護者、関西在住の県出身者らが大分の選手に声援を送った。チームに帯同した大塚弓月(滝尾中1年)は3区の中継点でレースを見学。「選手はみんな力強く走っていた。来年は自分も走れるよう頑張りたい」と話した。
だんご汁が大好評
○…競技場周辺には、各都道府県の郷土料理を提供するブースがずらりと並んだ。京都大分県人会は「だんご汁」を販売し、大好評だった。
前日から準備し、当日は午前8時から会場で調理を開始。行列ができるほどの人気で、用意した700杯は約4時間で完売した。宇佐市安心院町出身の衛藤正利会長代理(61)=京都市=は「寒さもあり、大盛況だった。ふるさと大分をアピールできた」と笑顔で話した。
京都 巻き返し奪還
雪が舞う寒さの中、2年ぶりの優勝を遂げた京都の選手が早狩監督を胴上げする。大会前から「監督を胴上げしたい」という強い思いを持って大会に臨んだアンカーの福士も、満面の笑みで監督の晴れ姿を見守った。
目指すは昨年3位で史上初の6連覇を逃した雪辱だった。だが序盤に大きく出遅れ、一時は16位まで順位を下げる。それでも早狩監督に「挽回できると思った」と焦りはなかった。
その後の展開は指揮官の読み通り。4区の木崎が10人抜きで6位に上がると、牧、菅野、池内の立命館宇治高勢が区間トップの力走で福士へとつなぐ。首位でたすきを受けた福士は「こんなおいしい思いをしていいのか」と、沿道に手を振りながらゴールを目指した。
早狩監督は広州アジア大会の女子3000メートル障害で銅メダルを獲得した現役だ。指揮するのは異例だが「選手目線でアドバイスをした」と過去10度の優勝経験を持つ先輩として接し、和やかな雰囲気をつくった。選手はリラックスして存分に力を発揮。チームの結束力の勝利だった。
岡山、連覇逃す
○…2連覇を逃した岡山の山口監督は「悔しいが完敗。緊張とか、力みがあったと思う」と淡々と振り返った。
指揮官が敗因に挙げたのは序盤だ。「昨年は先手先手でいけたが、今回は後ろにいって流れがつくれなかった」。1区に北京五輪マラソン代表の中村を置いて主導権を奪いにいったが、想定外とも言える2位だった。
そのままの順位でたすきを受けた3区の中学生、山田は区間42位と失速し「先輩に申し訳ない」とうなだれた。
高1、区間賞 福岡が3位
○…3位に入った福岡は、2区の高校1年生、木村が区間賞でチームに勢いを与えた。大学や社会人の選手が多い区間で落ち着いて走り「高校に入って、冷静に自分は自分というのを持つことができるようになった」と要因を挙げた。
アンカーを務めた稲富は、筑紫女学園高の後輩でもある木村の活躍に「かっこいいなと思った」。この日は稲富の25歳の誕生日。好成績で飾り「みんながプレゼントをくれたと思って走った」とうれしそうだった。
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