大分のスポーツ

車いすマラソン 大激戦、トラック勝負

[2010年11月15日 09:55]

マラソンT34/53/54女子で優勝のアマンダ・マクグローリー

 記念大会にふさわしい大熱戦が展開された第30回大分国際車いすマラソン大会。マラソンT34/53/54男子はマルセル・フグ(スイス)が混戦を制して初優勝。国内トップは2位の洞ノ上(ほきのうえ)浩太(福岡県)。県勢は笹原広喜(別府市)の30位が最高だった。同女子はアマンダ・マクグローリー(米国)が2年ぶり2回目の“女王”に。T51男子はステファン・ストローベル(ドイツ)が大会新で4年ぶり3回目の栄冠を手にした。ハーフでは、T34/53/54男子で渡辺習輔(別府市)が2年ぶり6回目の優勝。同T33/52では男子の佐藤仁志(岡山県)と、女子の木山由加(同)が“きょうだい優勝”を飾った。(スタートの午前11時の気象条件=曇り、気温18・3度、湿度76%、東北東の風0・9メートル)

先頭7人代わる代わるトップに

 ドラマは最後に訪れた。大混戦となったマラソンT34/53/54男子。7人が一気になだれ込んだトラックでガッツポーズを決めたのは、成長著しいマルセル・フグ(24)=スイス=だった。
 メモリアルレースは、勝負師たちの「駆け引き」が詰まった戦いとなった。大集団で走るのを嫌い、序盤からエレンスト・ヴァン・ダイク(37)=南アフリカ=ら十数人がハイスピードで飛び出す。
 「食らい付いていった。まだ体が温まらず、舞鶴橋辺りが一番しんどかった」と洞ノ上浩太(36)=福岡県。7キロを過ぎると脱落者が増え、優勝争いは早々と先頭集団の7人に絞られた。
 中盤はややペースを落とし、フグ、ダイク、洞ノ上、山本浩之(44)=同=らが代わる代わるトップに出る。誰もが冷静だ。どこで仕掛けるか。いかに最後まで体力を温存するか。どうやってライバルの体力をそぐか―。「ハイレベルな駆け引き」(山本)が続いた。
 30・5キロ付近の大野川大橋で山本が一気に前に出ると、虎視眈々(たんたん)と周りの出方を探っていた“王者”ハインツ・フライ(52)=スイス=もスパート、初めて集団の前に出た。
 「最後のトラック勝負になるとわたしは厳しい。その前に差をつけようとチャレンジしたが、後ろにぴったり付いてこられた」とフライ。山本も「逃げても逃げても追い付かれる。みんな強く誰も抜け出せなかった」。
 最後はスプリント力が勝負を決した。

マラソン評 
序盤からハイペース

 T34/53/54男子は7人によるトラック勝負となり、大激戦の末、フグが初優勝を飾った。序盤はハイペースで進み、日本勢3人、外国勢4人が抜け出して先頭集団を形成。互いにけん制しながら競り合いが続き、フグのラストスパートで決着した。2秒差の2位に洞ノ上、3位はレースを積極的に引っ張った山本。王者フライは5位にとどまった。
 同女子は外国勢3人が激しく争い、マクグローリーが2年ぶりの優勝。2位グラフ、3位ロイまで6秒差だった。
 T33/52男子は上与那原が高田とのマッチレースを制して2年ぶりの栄冠。同女子は昨年の覇者スティルウェルのみの出場で見事完走。T51男子は唯一完走したストローベルが大会新で3回目の優勝に花を添えた。
 125人が出場し、109人が完走した。

ハーフT34/53/54男子 
上位3位を県勢が独占

 ハーフT34/53/54男子は、県勢が上位3位を独占、渡辺習輔(42)=別府市=が2年ぶり6度目の栄冠を手にした。ラスト5キロの下り坂で「途中で止まってもいい」と、思い切ってスパート。2位以下を引き離し、フィニッシュした。
 当初は「周囲は有力選手ばかり」と2位狙いだったが、レース後半、集中力を発揮。一気に勝負をかけた。「いつ追いつかれるか冷や冷やでした」と話しながらも会心の勝利に笑顔があふれた。
 今春から、障害のある子どもたちに陸上競技を教える団体「キッズ・スポッチャ」で指導。「子どもたちの応援のおかげ。優勝の喜びを伝えたい」と話した。

マラソンT34/53/54女子 
マクグローリー雪辱 

 マラソンT34/53/54女子はアマンダ・マクグローリー(24)=米国=が2年ぶり2回目の栄冠に輝き、昨年2位の雪辱を果たした。「世界中の選手が集まるこの大会は、自分にとって、とても重要なレース。思い描いた走りができた」と笑顔を見せた。
 昨年覇者の土田和歌子(36)=東京都=が体調不良で急きょ欠場する中、海外の実力者3人がトップ争いを展開。決着は競技場までもつれた。
 「トップ集団に付いていこうと思いながら最後まで走った。スローペースだったが、選手が至近距離でしのぎを削るタフなレースだった」と振り返った。
 「優勝の喜びをまず母親に伝えたい」と、早速メールを送り、「次の目標はロンドンパラリンピック。もちろん金メダルを狙う」と言い切った。

ハーフ評

 T34/53/54男子は県勢3人が先頭争いをし、残り5キロで抜け出した渡辺がそのままフィニッシュ。2位は佐矢野、フルマラソンから転向の廣道は3位。同女子は初出場のシャーが独走でV。2位の小西に7分余りの大差をつけた。T33/52は男子が佐藤、女子が木山のきょうだいが優勝。T51男子は浜添が7連覇。182人が出場し、168人が完走した。

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