
豊富な運動量で活躍したエジミウソン
二つの難題
来季はJ2で戦う大分トリニータ。チームを運営する大分フットボールクラブ(大分FC)は11月、来季の予算規模を今季のほぼ半分の10億~12億円と示した。抜本的な経営再建に向けて運営費を縮小させながら、財務の健全化とチームの戦力確保という二つの難題に挑むことになる。
経営難に陥った大分FCは今季、Jリーグの「公式試合安定開催基金」による融資(3億5千万~6億円)を受けた。このためJ1復帰には、J2でシーズン3位以内という成績に加え、この借入金を全額返済することが条件となる。
さらに、昇格の可否を決める審査の内規で、債務超過(2008年度で5億5800万円)の解消が求められる。昇格段階で達成できない場合、J1の1年目で完全に解消する経営計画が必要。「計画は実現可能性を厳しく審査する。昇格時点で解消されていることが望ましい」(Jリーグ)
これら三つの条件がJ1復帰に立ちはだかる。「チームの成績はともかく、財務面の二つのハードルはかなりの難関だ」。関係者のほとんどが厳しい認識を示す。
選手・監督などの人件費は、現状の半分だと6億円規模。しかし、J2の平均はそれより低い4億4700万円(08年度)。基金の融資を受けた大分FCは予算の計上にJリーグの承認が必要となる。経営改善のため、圧縮を求められる可能性は十分にある。
応援が力に
有力選手の移籍は戦力が低下する一方、財務面ではプラスに働く。07年シーズン後に梅崎司選手が浦和に移籍した際、大分FCは約2億円の移籍金を得たとされる。Jリーグが独自に規定していたこれまでの移籍金制度は今季から撤廃されたが、選手が複数年契約の契約途中で移籍する場合は、相手チームから事実上の移籍金である「違約金」が入る。
欧州の中堅・小規模クラブでは、有望な若手を育成した上で他チームに高額で移籍させて運営費を稼ぐことも多い。大分FCは来季を含めた複数年契約を多くの主力選手と結んでおり、「選手を“育てて売る”ことも経営には大切だ」と元関係者は言う。
J2降格により、スポンサーの撤退と広告料収入の減少は必至の情勢。08年度、J1平均の広告料収入は14億8700万円(大分FCは8億8800万円)、J2平均は4億3400万円。特に県外企業との契約は厳しいとみられ、県外のある大口スポンサーは「(契約更新は)検討している段階」と話すにとどまる。県内スポンサーのつなぎ留めと新規開拓が不可欠だ。
観客数の維持、拡大も重要な要素。大分FCはここ数年、年間5億円前後の入場料収入を上げている。広告料収入の大幅な減少が予想される中、収入を安定させるには一人一人のチケット購入が大きな力を持つ。
ある経済人は「経営をガラス張りにし、120万人の県民が納得して支えていけるクラブにならないといけない」。大分FCは12月中旬に経営再建計画をJリーグに提出する予定で、内容が注目される。
エジミウソン退団
大分トリニータは8日、MFエジミウソン(33)、マルコスゴメスGKコーチ(35)のブラジル人2人の退団を発表した。ともに今季で契約を満了。運営会社の大分フットボールクラブが経営危機のため、来季の契約を更新できなかったもよう。2人は9日、大分空港午後2時20分発の便で東京に向かい、ブラジルの帰途に就く。
エジミウソンはJ2降格危機の2003年、05~06年、07年7月~09年の3度、大分と契約。運動量豊富な“汗かき役”のボランチとして、中盤を安定させた。陽気な性格でサポーターの人気も高かった。
J1、来季J2の計2チームから獲得オファーを受けている。エジミウソンは「サポーターは常にわたしと一緒に戦ってくれ、大きな支えとなった。大分の皆さんを心から愛している。ありがとう」とコメントを寄せた。
マルコスゴメスGKコーチは05年9月に加入。多彩な練習メニューでGK陣の信頼が厚く、大分で覚えた日本語も堪能だった。「大分に残りたかったが、クラブの経営事情もあって退団する。4年半、大分で仕事ができたことを誇りに思う」としている。
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