
前半11分、大分MF東(右端)が先制のゴールを決める=13日、九石ドーム
Jリーグ1部(J1)第25節第2日(13日・埼玉スタジアムほか=2試合)浦和が山形に4―1で快勝し、連敗を7で止めた。勝ち点を37に伸ばし、7位に順位を上げた。
浦和は前半4分にエスクデロのゴールで先制。前半を2―1で折り返し、後半は細貝とオウンゴールで加点した。山形は勝ち点27で15位。
大分は大分市の九州石油ドームで磐田と対戦し、2―1の勝利。順位は最下位のまま。大分は第26節第1日の19日午後2時から、新潟県の東北電力ビッグスワンスタジアムで新潟と対戦する。
【大分2―1磐田評】大分が立ち上がりから主導権を握り、積極的に攻撃。ゲームを支配した。
前半11分、MF東が相手DFのクリアミスを突き、左足で先制。同36分には磐田のセットプレーからいったん同点とされたが、後半12分、DF上本のクロスに走り込んだMF高橋が押し込んだ。大分は攻守に集中力の高さが目立った。
攻め自在高橋決勝弾
最後までボールを追い、「あきらめない」という執念を見せた。MF高橋大輔が値千金の決勝弾。DF上本大海のクロスに体ごと押し込むようなゴールで、5試合ぶりの勝利を呼び込んだ。
「決まった」。ポポビッチ監督の元へ一直線に駆け寄り、叫んだ。「監督も苦しんだと思う。結果を出し、喜ばせたかった」。自分のプレーに自信を失った時もあったが、指揮官から「自由に仕掛けろ」と言われ、持ち味を取り戻した。
「中断期間の練習で修正できた。多くの選手がゴール前に顔を出したからこそ生まれた得点だった」とチームプレーを強調。「これから毎試合が自分たちとの戦い。残留するには全部勝つしかない」と自らを追い込む。
19歳のMF東慶悟は先制点で存在感を示した。新人ながらここ5試合連続で先発。「(ボランチではなく)久しぶりのトップ下だったので、絶対に点を取ろうと思った」と胸を張る。
原靖強化部長は「ワンタッチ、ツータッチでつなくだけでは突破できないと選手が気づき、裏へ抜ける動きをプラスした。監督は選手に考える力をつけさせた」という。
希望をつなぐ1勝だが、いばらの道は続く。最短で第28節山形戦(10月3日・NDソフトスタジアム山形)にJ2降格が決まる。MF鈴木慎吾は「(次の)新潟戦はきょう以上に勝ちたい気持ちを出さねば」と引き締めていた。
結果を出せた
大分トリニータ・ポポビッチ監督の話 これまで内容が良くても結果につながらなかったが、今日は結果も出せた。最後までゲームを支配でき、一人一人が最後まで勝利を信じて戦い抜けた。ベンチ、ベンチ外の選手も含め、全員で勝ち取った勝利。このモチベーションを次につなげたい。
2年3カ月ぶり、緊張
DF菊地直哉(2年3カ月ぶりにJ1リーグ復帰)「緊張した。自分のプレーは良くなく、ピンチを招いた」
GK西川周作(好セーブを見せた)「ようやく自分もチームを助けられた」
MFホベルト(鳥栖に移籍。スタンドから応援)「みんなよく走った。気持ちがすごかった」
DF藤田義明(3バックの中央で統率)「2人のカバー、ラインの上げ下げなど落ち着いてできた」
DF深谷友基(日本代表FW前田遼一をマーク)「ポストプレー、裏への動きなどがうまかったがコンパクトに守れた」
「きずな」を取り戻せ
「こんな大分に誰がした」「素直に応援できません」…。試合前、大分のゴール裏を中心に、クラブ幹部を批判する横幕がずらりと並んだ。運営スタッフの説得でいったんは外す構えを見せたが、結局、試合終了後まで外されることはなかった。
成績不振でシャムスカ前監督を解任。ポポビッチ監督就任後も浮上の兆しは見えず、J2降格がどんどん迫っている。さらには過去に不祥事があった元磐田のMF菊地直哉や胸スポンサー「フォーリーフ」との契約…。サポーターのうっせきした思いは理解できるが、行き過ぎた行為だった。
菊地は試合前、大型ビジョンを通して謝罪。しかし、その言葉は磐田サポーターの声に遮られた。ウオーミングアップ前には四方の観客席に向かって頭を下げたが、大分サポーターの反応は薄かった。
大分は昨季、ナビスコ杯を制覇。チームの一体感は「絆(きずな)」と表現された。しかし、そのきずなはどこに行ってしまったのか。J1残留が厳しくなっている今、選手一人一人もさまざまな思いを胸に秘め、プレーしていると思う。
「結果を出すしかない」。この日の磐田戦では、そんな選手の気持ちが感じられた。そして、こんな苦境でも応援を続けるサポーター。「大分は死んでいない」との思いを新たにした。
J1に残ろうが、J2に落ちようが、戦いは続く。チームとサポーター、スポンサーなどが思いを共有できるよう、クラブはもっと説明責任を果たし、きずなを取り戻す努力をしてほしい。
(運動部・三浦誠二)
あきらめない サポーター「真剣さ伝わった」
5試合ぶりの勝利に九州石油ドームが沸いた―。大分トリニータは13日夜、ジュビロ磐田に2対1で競り勝ち、勝ち点3を手にした。依然として最下位に低迷し、J2降格の危機に変わりはないが、サポーターは「一つ一つ勝ち点を積み上げれば、わずかな希望はある。あきらめない」と力強く宣言した。
序盤にペースをつかんだトリニータは先制ゴールを奪ったものの、セットプレーから失点し、前半を1対1で折り返した。「失点はしたが、(ボールを支配して)いい感じなので、きっといける」と楊志館高校3年の近藤真希さん(18)。
後半12分。高橋大輔選手がクロスボールを押し込み、再びリード。「大輔、よし!」「やったー」。サポーターはハイタッチを交わし、こぶしを突き上げた。このまま、試合終了のホイッスル。勝利をたたえるトリニータコールが巻き起こった。
大分市の団体職員新名政明さん(44)は「選手がよく動いた」と勝因を分析した。同市の飲食店員野中義隆さん(40)は「2点目はラッキーゴールだったが、勝ちは勝ち。選手全員の真剣さが伝わってきた」と評価した。
この日の勝利で、J1残留ラインとなる15位のモンテディオ山形との勝ち点差が14に縮まった。それでも、早ければ3試合後にはJ2降格が決まる厳しい状況が続く。大分市の会社員佐藤京子さん(64)は「ここから奇跡を起こしてほしい」。そう願った。
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