
【大分―広島】後半23分、広島の攻撃を懸命にクリアする大分GK西川(中央上)とDF上本(中央下)=九州石油ドーム
再三好機決めきれず
Jリーグ1部(J1)第13節第1日(23日・九州石油ドームほか=5試合)最下位の大分は広島と対戦し0―1で敗れ、10連敗となった。Jリーグデータセンターによると、延長戦が廃止された2003年以降のJ1では、07年の横浜FCの9連敗を抜いてワースト記録。大分の次戦はヤマザキナビスコ・カップ1次リーグの横浜M戦(30日15時、神奈川県・ニッパツ三ツ沢球技場)。リーグは約1カ月中断し、第14節川崎戦(6月20日15時、神奈川県・等々力陸上競技場)で再開する。
清水はMF山本真がFKを決め、1―0で新潟を破り2連勝。新潟の連勝は2で止まり、今季本拠7試合目で初黒星を喫した。
神戸は3―1で柏に快勝し、敗れた柏は4連敗となった。千葉―横浜Mは1―1、山形―京都は0―0でともに引き分けた。
【大分0―1広島評】大分は20日のナビスコ杯浦和戦と同じフォーメーション。広島得意のパスワークに対し、前の4人を中心とするカウンター攻撃でほぼ互角の展開だったが、一瞬のすきを突かれ前半終了間際に失点。後半途中から投入された3選手も流れを変えられなかった。前後半を通じてチャンスは多かったが、シュートの精度を欠き10連敗。
悪夢の10連敗が決まった瞬間、DF上本大海は座り込み、こぶしでピッチをたたいた。広島に速攻で崩され、3試合ぶりの完封負け。リーグ中断前の一戦に勝って自信を取り戻し、「再生」へとつなげるシナリオが狂った。
ナビスコ杯浦和戦(20日・九州石油ドーム)と同じく4―5―1の新システムで挑んだ。日本人選手だけで連動を試みたが、浦和戦のように守備がはまらず、後手に回った。パスミスもあり、失速した。
DF森重真人は「結果がすべて。前半に押し込まれる場面があり、そこから立て直せなかった。リスク管理をしっかりとしなければ。自信を持って試合に入れたのに、また負けてしまった」と肩を落とした。
13試合を終え、1ステージ制になった2005年以降、最下位として最少の「勝ち点4」。J1残留を果たすには、連勝できるチームへの変ぼうが急務だ。
右サイドバックとして攻撃の起点となった梅田高志は「良いディフェンスができれば、良い攻撃へとつなげる。連敗だからと消極的にならず、チャレンジを続けたい」と前を向く。
進退問題が取りざたされているシャムスカ監督は「勝ち点を取れていないが、選手は良い戦いをしている。持てる力をすべて出し、この状況から抜け出さねば」と目を充血させて話した。
戦い方はいい
シャムスカ監督の話 いい形で攻撃をしていたが、パスミスや走り切れていない場面があり、点が取れなかった。選手たちはフィジカル面が万全ではないが、いい戦い方をしている。今の状況を抜け出すために、今後の自分の方針をクラブと話し合いたい。
MF藤田義明(広島の攻撃について)
「ボールをつないで来るイメージだったが、取りに行ってもすぐに回され、予想以上にきつかった」
MF宮沢正史(失点シーンを振り返って)
「ボールを奪えず、一瞬のすきをつかれた。一番失点してはいけない時間にしてしまった」
DF坪内秀介(チームの雰囲気について)
「練習や試合の後、問題点を挙げて話し合ったり、選手間のコミュニケーションはよく取れている」
「けが人続出 ピッチが原因」広島・佐藤寿が指摘
大分―広島戦は九州石油ドームのピッチの芝に足を取られ、つまずく選手が続出した。広島のFW佐藤寿人(元日本代表)は試合後「(ピッチが軟らかく)踏み込んだだけで怖かった。大分でけが人が続出し、最下位なのは選手やフロントの責任ではない。ピッチコンディションだ」と指摘した。試合中、ペナルティーエリア内の芝が大きくはがれたとき、レフェリーから「試合を中断して、芝を修復しようか」と提案されたという。
同ドームは3月に芝の全面張り替え工事を終えた。当初は5月初旬に芝が根付く予定だったが、ドーム特有の構造から日照時間が短いことも、根付きが遅れる原因となっている。雪印種苗大分スポーツ公園フィールド管理事務所は「芝は生き物でこちらの思うようにはいかないが、一日でも早く根付くよう、最大限の努力をしたい」と話している。
サポーターと31日に意見交換
成績不振を受けて、大分フットボールクラブは31日、サポーターカンファレンスを開く。時間と場所は未定。溝畑宏社長、原靖強化部長、シャムスカ監督が出席し、サポーターと意見を交わす。溝畑社長は試合後、「それまでに強化部と今後の方策を協議し、きちんと説明責任を果たしたい」と話した。
チーム再生険しい道
試合終了の笛が鳴ると、大分の選手たちはひざをつき、肩を落とした。「結果がすべて」。20日のナビスコ杯浦和戦で連敗脱出への手応えをつかんでいただけに、なおさら敗戦が重くのしかかった。
リーグ戦が中断期間に入るため、試合後、溝畑宏社長がマイクを握った。「もう一度原点に戻って立て直したい」。深く頭を下げる社長にゴール裏のサポーターから激しいブーイングが浴びせられた。社長は人目もはばからず、涙を流した。
シャムスカ監督は会見で自らの進退について問われ、「クラブが決断すること」。低迷の要因として従来同様、体力面の課題を挙げた。
13試合で1勝1分け11敗。10連敗で、勝利から2カ月以上遠ざかっている。GK西川周作は「中断期間で修正し、どんどん勝っていかないと降格が迫っている」、MF家長昭博は「厳しい。攻守に課題だらけ」。選手たちの言葉から危機感や勝てない苦しさは十分に伝わってきた。
試合終了から約1時間半、溝畑社長が記者の前に姿を見せた。過去の降格危機の例を挙げて、「何か手を打たねば奇跡は起きない」と補強を含めたテコ入れの考えを示した。「残りは21試合ある。まだトリニータは死んでいない」。言葉には力がこもっていた。
今季は3チームが自動降格するため、今後は15位との差を意識し、残留圏内を目指すことになる。けがで欠場中の主力も順次戻ってくるが、一度狂った歯車を元に戻すのは容易ではない。J1の灯を守るため、今後も厳しい戦いが待ち受けていることは間違いないだろう。
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