
九州新幹線の開業を控え、急ピッチで工事が進むJR久留米駅=15日、福岡県久留米市
大分県観光が大きな転換期を迎えている。来年3月12日の九州新幹線鹿児島ルート(博多―鹿児島中央)の全線開業で、関西圏と西九州のアクセスが向上する。大分県の観光関係者は「福岡―鹿児島という“縦軸”への観光客の『一極集中』が進むのではないか」と危機感を強めている。
県は熊本、長崎両県との連携を強めることで東九州を含む“横軸”への集客を模索する。3県は新幹線が通る熊本を起点にしたアクセス改善を図るため、新幹線開業に合わせて3県内限定でレンタカーの乗り捨て料金無料化を打ち出した。
大分県への2009年の観光客(宿泊客ベース、外国人除く)は347万人。このうち新幹線沿線の近畿や中国(四国含む)からの旅行者は18%だが、「新幹線開業で西日本の中でも九州への注目度が高まるのは間違いない」(県観光・地域振興局)とみる。
九州新幹線開業が間近に迫る中、「ピンチ」を「チャンス」ととらえ、地域同士が連携して自慢の「食」や「もてなし」に磨きをかけるなど、観光客を呼び込もうと知恵を絞る動きが活発になってきた。県内の取り組みや今後の戦略を探った。
火山と温泉の観光
「世界一のカルデラ火山と温泉を持つ両市が手を組めば『環境観光』で売り出せる」
「九州横断道路沿線の自然景観を見直す必要があるのでは」
熊本県阿蘇市で14日にあった別府、阿蘇両市のまちづくり団体による交流会。住民や行政関係者ら約50人が集まり、今後の地域づくりを語った。両市は地域通貨の相互使用などで交流を続けるが、出席者からは観光面のつながり強化を期待する発言が目立った。
「火山、湯けむりというスケールの大きな自然景観を持つ両地域が協力し合えば、新幹線が通った後も九州観光の核になれる」。交流会を主催した別府八湯ウオーク連絡協議会の河村建一代表世話人は両市連携の必要性を強調する。
1960年代、別府市から阿蘇山を抜け、熊本市に至る九州横断道路(県道別府一宮線)が開通。九州観光のゴールデンルートとして脚光を浴びた。だが、その後の高速道路、鉄道網の整備が西九州中心に進んだ結果、大分―熊本―長崎の「横軸」で衰退が加速した。
県北とも手を結び
九州新幹線開業に伴う本州からの旅行者をどうやって、横軸に引き込むか。県観光の中軸を担う別府市は宇佐市や国東半島など県北地域とで結成した広域観光圏「豊の国千年ロマン観光圏」への集客を推し進めようとしている。古代から昭和に至る歴史的遺産を見聞できる県北と手を結び、阿蘇や北九州方面からの集客向上を期待する。
清末広己別府市ONSENツーリズム部長は「新幹線からのアクセス面で課題はあるが、別府の温泉と、食や歴史が豊かな県北には魅力がたくさんある」と力説。新幹線開業はむしろ“チャンス”と見る。
阿蘇地域と隣接する竹田市は熊本県側が中心になって来年3月から開く「阿蘇ゆるっと博」に参加する。阿蘇山を中心に行政区域の枠を超えて温泉、食、自然を売り込むイベントで、「阿蘇からさらに奥に足を延ばしてもらう」(市商工観光課)狙いだ。
九州観光の「新ゴールデンルート」とささやかれる福岡―鹿児島の縦軸に対抗して広域連携を模索する大分県。九州新幹線の開業で、その真価があらためて問われることになる。
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