
臓器提供意思表示カード付きのリーフレット
7月に改正臓器移植法が施行され、書面での本人の意思表示がなく、家族の承諾による脳死での臓器提供が全国で相次いでいる。これまでは本人があらかじめ書面で臓器提供の意思を示していて家族が同意する場合に限られていたが、法改正で生前に本人が拒否していなければ、家族の承諾で脳死判定と臓器提供ができるようになった。県内で脳死での臓器提供が行われたことはないが、法改正をきっかけに臓器提供への関心は高まりつつある。
7月以降に9例
脳死での臓器提供は、昨年は年間7例だったが、今年は法改正後の7月以降だけで既に9例あった。
県臓器移植コーディネーターの小野美代子さん(32)は「臓器提供に関する一般の方からの問い合わせはこれまで月に1件程度でしたが、7月以降は冊子がほしい、臓器摘出後の傷あとはどうなのか、時間はどれくらいかかるのか、どこの施設でも提供できるのかといった電話が増えており、前向きに考えていただいていることを感じます」と話す。
小野さんは、臓器移植法で認められた国内唯一の臓器あっせん機関「日本臓器移植ネットワーク」の委嘱を受けたコーディネーター。県内では小野さんだけで、同ネットのコーディネーターとともに、提供者の家族への説明や承諾の手続き、提供病院や移植を受ける患者のいる病院との連絡、臓器搬送の手配、提供後の家族の継続的なケアなど、さまざまな役割を担う。ほかに院内の調整役となる院内コーディネーターがいて、それぞれが連携して活動する。
思いでつながる
「私たちは提供のお願いや説得をしているのではありません。本人の生前の意思やご家族の思いをきちんと聞いて、提供に対する不安を取り除き、最終的にはご家族の判断に委ねています。『どこかで生きていてほしい』というご家族の思いがあるのなら、それをかなえることができるように支援します」と小野さん。
「移植医療は、本人の意思と決断をする家族の思い、提供施設や摘出チーム、搬送など、多くの方々が携わってできる。まさに人の思いでつながる命のリレー」と強調する。
死生観も含めて
救急病院などで脳死と診断された患者が発生した場合、臓器提供について書面で本人の意思表示があったり、家族からの申し出があると、医療機関から日本臓器移植ネットワークに連絡があり、コーディネーターが家族と面会する。家族が脳死判定と臓器提供を承諾すれば、移植ネットは登録された移植希望患者の中から最も適する患者を選定。臓器提供者が発生した病院に移植手術をする病院から摘出チームが派遣され、臓器を摘出。搬送して移植手術をする。
県内で脳死での臓器提供ができる医療機関は、大分大学付属病院、大分市医師会立アルメイダ病院など4施設。そのうち移植手術(腎臓のみ)ができるのは大分大付属病院。
移植医療に対しては、臓器を提供する権利、提供しない権利、臓器の移植を受ける権利、受けない権利がある。死生観を含めて、自分ならどう考えるのか、日ごろから家族と話し合うことが大切だろう。
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