
還暦を過ぎてから修業を積んで実家のざぼん店を継いだ三見守さん
別府市北浜のやよい天狗(てんぐ)通りにある「三味(さんみ)ざぼん店」の店主、三見(さんみ)守さん(64)は40年間の会社勤めの後に家業を継ぎ、職人の道を歩んでいる。「昔はたくさんあった別府のザボン漬け専門店も今や一軒だけ。お世話になった商店街のためにも、店の灯は消さない」。第二の人生は泉都土産の代名詞・ザボン漬けの伝統を守るためにささげる覚悟だ。
店のルーツは三見さんの父俊夫さん(故人)が1950年に別府駅前通りに創業した三味製菓。70年に現在地に移転。約20年前にザボン専門店になり、屋号も変えた。
三見さんは大学卒業後、吉村薬品(現アステム)に入社。同社役員や子会社の社長を務め、2009年5月に退職。同年7月に店を継いだ。「若いころは会社一筋。跡を継ぐなんて思わなかった」。第二の人生を真剣に考えるようになり、「私のルーツは両親が残したこの店。受け継ぎたい」という気持ちが強くなったという。
社長業の傍ら、俊夫さん亡き後に技術を守ってきた職人萱嶋敏さん(77)に師事。2年かけて修業し、退職後に備えた。今は妻悦子さん(63)、次女佐藤優子さん(37)と切り盛りしている。
ザボン漬けは乾燥した皮を水で戻し、湯がいてアクを抜いてから、砂糖や水あめのみつで炊きあげる。三見さんが特に気を使うのは、父が開発した琥珀(こはく)色のザボン漬けを作るとき。定番の黄色いザボン漬けより甘さが控えめで、独特の食感も魅力。酒肴(しゅこう)にもなる看板商品で、秘伝のみつは30年近くつぎ足してきている。「焦がさないよう、微妙な火加減がいる」という。
「ザボンの勉強には終わりがない。サラリーマン時代は職人の気持ちが想像できなかったが、やってみると性に合った」と笑う三見さん。モットーの「味よし 香よし のこり香よし」を追求する日々が続く。
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