
有料老人ホームで介護を受けながら生活する高齢者=大分市内
「有料老人ホーム」が増えている。県内ではこの4年間で、33施設から177施設へと急増。特別養護老人ホームに入れない高齢者の受け皿として、建設業など異業種の参入が相次いでいる。高齢化とともに施設への入所を必要とする高齢者は増えており、「住み慣れた自宅で過ごす」という在宅介護の“限界”も垣間見える。
急増の背景には、有料老人ホームの届け出条件が「入所10人以上」から「1人以上」になったこともあるが、それ以上に大きいのが需要の拡大。県内の定員は今年7月現在、177施設で計4710人と、2年間で約1・8倍になった。
大分市内に住む70歳代の高齢夫婦。妻が認知症になり、暮らしがたちまち立ち行かなくなったという。年金を掛けていなかった夫は生活のため今も働き、昼間は妻一人きり。配食サービスを受けているが、代金の支払いも困難な状態。
担当ケアマネジャー(42)は早急な施設入所が必要と判断したが、特別養護老人ホームはどこも満床。「有料老人ホームしか受け入れ先がなかった」という。
訪問介護事業を展開するNPO法人は今年6月、大分市内のアパートの4部屋を借り、有料老人ホーム「里の風」(8床)を始めた。今村友子理事長は「同居家族がいても日中は一人きりだったり、今は何とか1人で暮らせても、将来に不安を感じている人は多い」と見守りの必要性を強調。
県北地域で活動するケアマネジャー(53)も「自宅での生活が限界に来ている世帯が年々増えていると感じる」と話す。
●自治体、対応に苦慮 100人単位の待機者 数増やせば給付費増
県内の特別養護老人ホーム(特養)は、どこも100人単位の待機者を抱えている。2008年6月の県調査によると、待機者は延べ4298人。介護保険制度に基づき総量規制があるため、施設数や定員は簡単には増やせないのが現状だ。
特養は自治体が認可した施設で、主に要介護3以上の高齢者が入所。いずれも24時間の介護体制が整い、世帯所得に応じた利用料になっているのが特徴。
県の計画によると、08年度の特養は計4851床。11年度の目標値は計5042床で、県全体で増やせるのは191床にすぎない。背景には、介護給付費の伸びを抑えたいという自治体の思惑がある。
65歳以上の高齢者約9万5千人を抱える大分市では、介護保険制度が始まった2000年度からの9年間で、介護給付費はほぼ倍の約232億円になった。市長寿福祉課は「特養を増やせば、それだけ介護給付費が増え、保険料にはね返る。待機者がいても安易に増やせない」と苦しい胸の内を明かす。
▼有料老人ホーム
介護付き、住宅型、健康型の3種類がある。特別養護老人ホームは社会福祉法人しか運営できないのに対し、法人格があれば、一部の介護付きを除き、県への届け出で自由に開設できる。価格設定も自由で、月額数万~数十万円と幅広い。
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