
薬害肝炎救済法の対象外の血液製剤でC形肝炎ウイルスに感染したとして同法の適用を求めて提訴。提訴後、会見する弁護士=30日午前10時、大分市の県弁護士会館
薬害肝炎救済法の対象とならない血液製剤の投与を受けてC型肝炎ウイルスに感染したとして、大分市内の無職男性(61)が30日、国に同法の対象となることの確認と200万円の慰謝料を求める訴訟を大分地裁に起こした。厚生労働省によると、対象外の血液製剤で同法の適用を求める訴訟は全国初。
訴えによると、男性は1976年、福岡県で心臓病の手術を受け、血液製剤の一種であるグロブリン製剤とアルブミン製剤を投与された。手術の約2週間後に急性肝炎の症状が出たという。その後、慢性C型肝炎が進行し、今年1月に肝がんと診断された。
同法は血液製剤のうち、フィブリノゲンと第9因子製剤(クリスマシンなど)の投与による感染を救済対象としており、投与や因果関係が、裁判で認定された感染者や遺族に症状に応じて1200万~4千万円の給付金を支払う。
代理人の今井雄一朗弁護士は「感染経路は手術時の血液製剤しか考えられない。いずれの血液製剤も原料は同じで製法もほぼ一緒。一律に救済するべきだ」と主張している。
同省は、男性が投与された血液製剤は「これまで国内で感染の確認例はない。ウイルス汚染されている可能性は極めて低い」と説明。同省医薬品副作用被害対策室は、訴訟については「訴状の内容を承知していないのでコメントは差し控えたい」としている。
「苦しむ人、名乗りを」男性 会見
「こうした訴訟は初めてかもしれないが、同じように苦しんでいる人がいれば、名乗りを上げてほしい」。提訴後、大分市の県弁護士会館で代理人の弁護士と共に会見した男性は車いすに乗り訴えた。
C形肝炎ウイルスは感染力は比較的弱いが、急性肝炎の症状が出た当時は医師からプールなどに入らないよう忠告された。「大好きだった水泳もできなくなった。差別的な扱いを受けた」と振り返った。2008年1月に薬害肝炎救済法が成立し、救済対象とならないか10回ほど、厚生労働省に問い合わせたが「訴訟を起こしてください」と言われるだけだったという。
「なぜ血液製剤の種類によって(救済の)線引きをしたのか。納得できない」。男性はがん治療のため、近々、再入院する予定。「わたしに残された時間の余裕はそんなにない」と声を絞り出した。
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