
国道326号の県境で消毒槽を通るトラック=佐伯市宇目
宮崎県の口蹄(こうてい)疫は日向市にも感染疑いが広がり、大分県側に北上した。同市から約70キロ離れた県境の佐伯市内は防疫体制をめぐり緊張が高まっている。延岡市と連携した観光行事の自粛も検討されるなど、地域経済への影響が懸念されている。
「日に日に緊張感、恐ろしさが増していく」。佐伯市弥生で肥育牛75頭を育てる狩生正治さん(60)。農場は国道10号沿いにあり、通行量が多いため消毒を尽くしても不安は消えない。朝、牛が元気に餌を食べる姿を見て「今日も無事だ」と胸をなで下ろす。牛の健康状態は一日に何度も確認する。「一刻も早く終息し、牛の競り市場を開いてほしい」と狩生さんは祈る。
県境の防疫体制の強化を望む声も出ている。大分県が同市宇目の国道326号に設けた消毒ポイントでは、宮崎県から入る一般車両は消毒液のたまった消毒槽を通過する。畜産関係車両や希望する一般車両は、防疫員が噴霧器を使って入念に消毒している。だが、地元の会社員男性(54)は「すべての車両を噴霧器で消毒しなければ、完ぺきな防疫にならないのではないか」と疑問を投げ掛ける。
県境をまたぐ交流イベントも自粛を検討している。佐伯、延岡両市の観光協会の共催で、1万2千人以上が参加する「東九州伊勢えび海道」(9~11月)。事前にPRを兼ねた両市の観光施設を巡るスタンプラリーをしているが、佐伯市観光協会はラリーを「人が広域で巡回する行事の開催は難しい」と考えている。
同協会の古田浅男事務局次長は「口蹄疫の感染が秋の観光シーズンにまで続けば、地域経済に深刻な影響が出てくる」と長期化に懸念を示した。
<メモ>
佐伯市によると、市内の牛の飼育農家は47戸で、1091頭、豚は11戸で、7097頭を保有する(5月31日現在)。
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