大分県内の旧16JAが2008年6月に合併した県農協の10年3月期決算(09年4月~10年3月)は、貸倒引当金や人件費の抑制、施設の統廃合などにより当期剰余金が19億8千万円と黒字を計上した。不況が直撃して21億5千万円の赤字を出した初年度から、想定を上回るV字回復。ただ、徹底したコスト削減が目立ち、本業で確実にもうける経営基盤の強化が求められている。
当期剰余金は計画の2億7千万円を大幅に上回った。一般企業の経常利益に該当する事業利益も17億2300万円と計画を12億円上回った。
県農協によると、債権管理を徹底し、前期に住宅開発事業の担保下落などで計上した貸倒引当金は約10億円縮小。ほかはガソリンスタンドなど不採算施設26カ所の統廃合、職員数の減少、退職金基準の統一による引当金の戻り益などを要因として挙げた。前年度からの繰り越し赤字は7700万円まで減った。
前期とは決算期間が異なるため単純に比較できないが、信用や共済、購買、販売の各事業利益はいずれも前期並み。農協関係者からは「今決算はコスト削減によって出た数字。本業で利益をのばすことや組合員に合併メリットを提供することが課題」と“自戒”の声も聞かれる。
一方で、ある職員は「特別な損失がない限り、単年度の事業利益は約10億円を出せる力がある」と指摘。スケールメリットによる経営改善が、合併の大前提であることをあらためて強調した。
阿部新咲理事長は「とりあえずは安堵(あんど)できる決算になったが、強固な経営基盤を築くために解決すべき課題は多い」と話した。
<メモ>
県農協の組合員と準組合員の合計は10万1千人で九州の農協では最大。農産物など販売事業の取扱高は315億円。合併時にJAの全国・県機構から102億円の支援を受け、10カ年の再発防止策(経営改善計画)を策定。9月にJA杵築市を吸収合併する本年度の収支計画は事業利益9億9千万円、当期剰余金8億3千万円を見込む。
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