
国の重要文化的景観に選定するよう答申された豊後高田市の「田染荘小崎の農村景観」。昔ながらの水田やあぜ道の姿が残る=21日
国の文化審議会が21日開かれ、豊後高田市田染地区に広がる「田染荘(たしぶのしょう)小崎の農村景観」を、国の重要文化的景観に選定することを文部科学大臣に答申した。県内では日田市の「小鹿田(おんた)焼の里」に次いで2件目。選定を受け、市や地元は後世に景観を残すための取り組みを続ける。
田染荘小崎の農村景観は、同市田染小崎と田染真中の一部を含む約92ヘクタール。11世紀前半に村落と農地が開発され、宇佐神宮が重要視した荘園。14世紀前半から15世紀にかけての集落と水田の姿、屋敷跡や史跡などが現在まで継承されてきたとされる。歴史的石造物や多くの動植物が確認されている。
一帯は1980年代、圃場(ほじょう)整備計画が持ち上がったが、現在の県立歴史博物館の調査で文化財的価値が高いことが分かったため、2007年までに圃場の形態を変えずに水路の改修などを実施。現在も昔の水田と同じように維持され、「田越しかんがい」といった水利システムも残る。
文化庁は「中世の荘園に起源を持ち、近世から近代にかけて緩やかに進化を遂げた農耕、居住の基盤的な土地利用形態を示す文化的景観として価値が高い」としている。
別府大学の飯沼賢司教授は「住民でつくる荘園の里推進委員会の活動や水田オーナー制度など、地元が景観維持に努めている点も評価された」と説明する。
永松博文市長は「非常にうれしく、地域の皆さんと喜んでいる。この美しい農村景観を守っていかないといけないと覚悟している」、荘園の里推進委員会の河野繁利委員長は「地域の高齢化も進んでいるが、後世のために頑張って守っていきたい」と話した。
<ポイント>重要文化的景観
2005年の文化財保護法の一部改正で始まった新しい文化財保護制度。人と自然のかかわりの中ではぐくまれた景観地を文化財と位置付けて保存、活用を図る。田染荘は全国で21件目。文化財保護法のほか、景観法に基づいて市や地元で協議した計画によって、建築物の設置などに一定のルールが設けられている。
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