
講演する柯隆主席研究員=11日、大分市のトキハ会館
大分政経懇話会の5月例会は11日に大分市のトキハ会館で、12日に臼杵市の喜楽庵であり、富士通総研主席研究員の柯隆(かりゅう)氏が「世界第2位になる中国経済の行方」と題して講演した。要旨は次の通り。
サービス産業中心へ
中国の経済発展は中国人の高い貯蓄率と、海外からの投資の拡大に支えられている。輸出も好調で、昨年は金融危機の影響を受けながらも約2千億ドルもの黒字を記録した。さらに今年は上海万博の開催で、昨年を超える成長が見込まれる上、万博が国内の消費もけん引するとみられており、今後も勢いは続きそうだ。
中国経済は現在、大きな転換点を迎えている。これまでは製造業中心に成長してきたが、今後は物流、金融、情報といったサービス産業を中心とした産業構造への転換が必要だ。ただ、中国の経済は地方ごとに独立しており、利権を守るためのさまざまな規制が省ごとにある。政府がリーダーシップを発揮し、地方を超えたネットワークを構築することが、中国およびアジア全体の成長につながる。
好調な輸出産業は、実は国内の所得格差に支えられている。労働者の人権や給料の問題については改善すべきだが、実際に格差が縮まれば、高付加価値のハイテク産業から安価な衣料や生活雑貨までの幅広い産業は(より賃金水準の低い)メキシコやミャンマーなどに移転せざるを得なくなる。少なくとも今後10年は格差を残したまま輸出産業が温存されることになるのではないか。
政治空白も気掛かり
中国は今年にも、日本を追い抜いてGDP(国内総生産)で世界第2位になる見込みだが、発展の陰で数多くの問題を抱えたままだ。縮まらない所得格差により危惧(きぐ)される暴動の増加や、一人っ子政策の弊害で進む少子高齢化と、20歳以下の男性が女性よりも3千万人多いという男女間のバランス崩壊。さらに大気汚染や水質汚濁といった環境問題については国民の意識が低い上に法制度も整っておらず、解決のめどは立っていない。
胡錦濤国家主席と温家宝首相の引退まであと2年ほど。歴史を見る限り、去る人間は大胆なことをしない。一方、新しいリーダーは政権を掌握するまでに1、2年かかる。この間、政治の空白期間が生じてしまうだろう。リスク管理の議論と対応を早くすべきである。
▼別府会場 24日(月)正午 ホテル白菊
▼中津会場 25日(火)正午 グランプラザ中津ホテル
日本貿易振興機構海外調査部北米課
課長代理 桜内 政大氏
「米国経済のいま、そして今後
~経済・通商・産業の最新動向」
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