
5月中の中止が決まったJA全農大分県本部の玖珠家畜市場
宮崎県内の牛や豚に口蹄(こうてい)疫の感染や疑似患畜の発見が相次ぎ、JA全農大分県本部は5月の牛の競り市場=3カ所、計5回=をすべて中止した。出荷を予定していた農家は売上金が入らない上、餌代など飼育費用も余分に掛かる状況になり、経営に不安を訴える切実な声が上がっている。各JAは緊急の支援策を検討し始めた。
玖珠町で繁殖雌牛約90頭を飼育する宿利英治さん(63)=JA玖珠九重肉用牛部会長=は、11日の玖珠市場に子牛5頭を出荷するはずだった。4月の市況に照らせば185万円の収入を失う可能性がある。
宿利さんは「困った。従業員の賃金を工面しなくてはならないのに」と表情を曇らせた。周りの農家からも「借入金の返済に充てるはずだった」「(子どもの)入学金を立て替えてもらえないか」などの相談を受けているという。
こうした事態を受けてJA玖珠九重は7日、5月の玖珠市場に子牛を出荷予定だった全約120戸を対象に、1頭上限20万円の仮渡し(無利子融資)を決定。次回市場で競りに出すことを条件とした。
一方、市場中止が長引けば価格下落の懸念もある。県内の肉用牛農家は子牛販売の「繁殖農家」が大半。県内の市場に来て子牛を買い取り肉牛に育てる「肥育農家」は、県外が約7割を占める。「子牛の出荷時期が延びるほど、大分の子牛が敬遠されるのでは…」と繁殖農家の悩みは深刻だ。
県内の畜産農家は景気悪化による価格低迷で体力を消耗してきただけに、市場中止の打撃は小さくない。JA大分中央会は「各農協ができる限りの支援を検討している」と話す。竹田市久住町で繁殖を手掛ける渡辺次郎さん(61)は「6月の市場は開けるだろうか…。1日も早く宮崎県で終息してくれることが何よりの願い」と力を込めた。
<ポイント> 口蹄疫
ウイルスによる急性熱性伝染病。牛や豚などが感染すると口などに水疱(すいほう)ができ、食欲が落ち、立てなくなる。感染力も強い。今回発生した宮崎県では、牛や豚に感染疑いが出た農家や施設は計43カ所となり、殺処分対象は計約4万5千匹に上る。
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