
必要書類の記入事項について尋ねる米農家の難波さん(左)=国東市国東町の同市水田農業推進協議会
食料自給率の向上などを目的に始まった国の「戸別所得補償制度モデル対策」は、加入申請の受け付け開始から1日で1カ月がすぎた。政権交代による農政転換に大分県内では対応に戸惑う生産現場の姿が浮き彫りになり、農家に期待と不安が入り交じっている。
農家が同制度に加入するには申請書、作付面積確認依頼書などの書類を国に提出する必要があるが、4月末までに大分農政事務所に申請があったのは2件にとどまる。ほとんどはJAや市町村などでつくる各地域の水田農業推進協議会で集約している最中だ。
国東市水田農業推進協議会(同市国東町)では4月に入ってから毎日、生産者から申請に関する問い合わせの電話が30本以上かかり、訪問者も10人を超えている。野田高利事務局長は「不作付け地の改善計画書など必要書類が複雑。3~4月に各地で説明会を開いたが、すぐに理解してもらうのは難しい」と話す。
今後も、7~8月ごろの作付けの現地確認、10~12月ごろの国への交付金の申請、来年1月ごろから国の交付金受け取りと、制度のスケジュールは続くが、「国の質問回答事例を見ても答えがなく、農家の問いにはっきりと答えられない事項がある。大変な1年になりそうだ」と野田事務局長。
戸別所得補償制度について、同市国東町の米農家、難波隆信さん(78)は「新制度の説明は聞いたが、よく分からない。1年間たって、本当にお金がもらえるのだろうか」と不安を隠さない。
同市安岐町の自治委員、下川和義さん(73)は「規模が大きく意欲的な農家は頑張った分だけ報われる制度」と評価する一方、「米の生産調整は続くので、小規模集落はたくさん作りたくても作れない。地域は高齢化が進み、裏作品目で稼ぐ余力もないのが現状。やってみないと分からないが、小さな集落では新制度の前と後で大きな変動はないのでは」とみている。
<ポイント>戸別所得補償制度モデル対策
米の生産数量目標に沿って主食用米を生産する販売農家らに10アール当たり1万5千円の定額助成などをする米モデル事業と、麦、大豆、飼料米など戦略作物に助成する自給率向上事業の二つが柱。本年度の加入申請は6月末まで。
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