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安全と伝統継承に悩む 野焼き事故から1年

[2010年03月16日 09:27]

野焼き事故から1年たった由布市湯布院町塚原地区の原野。枯れたカヤに覆われている

 由布市湯布院町塚原地区で、野焼き作業中に4人が死亡した事故から17日で1年を迎える。事故をきっかけに県内の多くの自治体で、火入れ(野焼き)条例や安全確保のための見直しが行われた。市内では今年も野焼きが始まっているが、どこも高齢化に伴う担い手不足という問題に直面している。地域の伝統をどう継承していくのか―解決の糸口は見えないままだ。

 今シーズン、由布市内で野焼きを行うのは4地区。2地区は既に終了し、残る地区も4月初めまでに実施する予定。しかし、野焼き事故で、役員10人(1人は事故で死亡)が過失致死の疑いで県警から書類送検された塚原財産管理委員会は、今年の野焼きを断念しており、来年以降も未定。
 市は「1年間野焼きをしないと枯れ草がたまり、次に野焼きをする際の危険度が大きくなる。新芽が出るまでの1カ月間に市としてどう対応すべきか方向性を出したい」としている。
 野焼きは牧草地の入会権などを持つ住民らでつくる牧野(ぼくや)組合などが実施している。どこも高齢化が進み、どのようにして継続するかが課題となっている。組合関係者からは「危険を冒してまで行う必要があるのだろうか」という疑問や、「10年後、20年後には野焼きは消えているのでは」と危惧(きぐ)する声が聞かれる。
 1月に市内であった火入れ条例の説明会では、出席者から「先祖代々の伝統を守るのと防災のために続けている」という声が相次いだ。高齢男性は「1万1千人の湯布院町に年間約380万人の観光客が自然景観を楽しみに訪れる。その裏でわたしたちが毎年骨を折っていることも忘れないでほしい」と訴えた。
 市の野焼き対策検討委員会(委員長・清水嘉彦副市長)は、野焼きの継続に向け、ボランティアの活用などを模索している。清水副市長は「野焼きは防災や害虫駆除などの面から重要。今後も続けられるよう市としても最大限協力したい」と話した。

 <ポイント>
 塚原地区の野焼き事故 昨年3月17日午後1時半ごろ発生。野焼きの火が燃え広がり、70、80代の男女4人が死亡、3人がやけどなどのけがを負った。当時の市条例は、乾燥注意報が出ている中での火入れを禁じていた。その後、注意報が出ていても野焼きができるよう条例を改正。併せて安全対策の充実も図った。

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