
郡司彰農水副大臣(右端手前)の説明を聞く竹田市荻町の農家ら=11日午後、竹田市の荻公民館
ダム湖地盤から水が漏れ、事業計画が大幅に遅れている大蘇ダム(熊本県産山村)。農林水産省は3カ年の補修対策と並行し、農業用水を供給しながらダム機能を検証する方針を示した。しかし、同省が11日、最大受益地・竹田市荻町で示した計画給水量のデータは地元の実感と懸け離れていた。地元は漏水問題以前に、事業計画そのものの妥当性に疑問を持ち始めている。
詳細な説明なく
「こんな現実離れした数字の話では、農家は腹を立てるばかりだ」。11日、荻公民館での説明会。農水省の説明資料を手に、荻柏原土地改良区の山村英治事務長は声を荒らげた。
国が示した事業計画の水源別依存度を見る円グラフ。水田への供給は、河川やため池が全体の約74%、大分県営大谷ダム(熊本県高森町)が約15%を占め、大蘇ダムはわずか約11%。地元の期待を大きく下回り、しかも詳細な説明はなかった。
荻町では稲作のかんがい期になると、代かきや田植えで水が不足する。農家は寝る時間を削り、深夜でも水を割り振って使う「時間水」を行う。地元関係者は「大蘇ダム以外で9割が賄えるのなら水不足なんて生じない。ダムもいらないことになる」と憤る。
「検証に協力を」
改良区は以前から農水省の給水見立てに疑問を投げ掛けていたが、はっきり数値が示されたことで不信感を強める。山村事務長は「大蘇ダムの割合が約11%という数字は初めて見た。これが事業計画なんてとんでもない」と批判する。
一方、農水省は新年度、昨年まで試験湛水(たんすい)のために無効放流していた水も使えば、稲作などのかんがい期(27日間)に十分な水を供給できると試算。郡司彰副大臣は「実際に水が足りるか、足りないかを見たい」と今後の検証に協力を求める。
改良区は「いいかげんな状態で納得すれば、後世に迷惑が掛かる。30年間待った。完全なダムを望むのが不当とは思わない」と安易な妥協はできない考えを強調した。
長い年月と多額の費用を使った結果の“欠陥ダム”。国と受益地・荻町の間にできた溝はさらに深まっている。
<ポイント>
大蘇ダムの漏水対策 農水省は新年度から3カ年で、水漏れが懸念される3カ所にコンクリート吹き付けなどの対策を取る。総事業費は全額国費で約8億4千万円。赤松広隆農相は地元が望む全面改修には「400億円以上掛かる」と否定的だ。
[PR]セントラル短資FX
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA